自身が幼少期から憧れ、夢中で聞いていたアーティストのチームに入り、信頼されながら一緒に仕事をするとはどのような気持ちなのだろうか?特にドクター・ドレーのような存在とスタジオに入り浸り、楽曲をプロデュースするような経験は、多く人が経験しないようなことであろう。そんなヴィジョンを実現させたプロデューサーがDem Jointz(デム・ジョインツ)である。彼はドクター・ドレーのレーベルAftermath Entertainmentでも活躍し、ドレー以外にも、カニエ・ウェスト、エミネム、ケンドリック・ラマーなどの楽曲もプロデュースしてきた。そんな彼のインタビューがHipHopDXに掲載されていたため、紹介したい。
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1976年に生まれ、コンプトンで育った彼は、リアルタイムでIce-T、N.W.A.、Compton’s Most Wanted、DJ Quikなどのアーティストを聞いて育った。ギャング活動が活発な地域で育つなかで、彼は音楽にフォーカスすることで、そのようなバイオレンスから遠ざかることができたと語っている。
コンプトンで育ち、常に身の回りで起こってることを意識していた。自分が巻き込まれないように、抜け出せるような道を志した。成功してから自分のような環境で育った人たちをサポートできるように、この土地に戻ってきたいと思っていた。
コンプトンで音楽という道を見つけたが、彼には一つ問題があった。両親が教会で働く熱心な宗教家だったのもあり、家でドクター・ドレーやN.W.A.などを聞くことが許されていなかったのだ。彼はそのなかで、多くのリスクを負いながら音楽を手に入れたようだ。
父親が宣教師で、母親が教会のコーラス隊にいたから、自分は教会のバンドでドラムを叩いていた。自分の家では聞きたい音楽を聞けなかったから、ブームボックスを持ってる友達の家に頻繁に遊びにいっていたんだ。彼はIce-T、N.W.A.、Eazy-Eなどの音源を持っていた。俺はヤバい子供だったから、自分の家でも聞くために、教会から礼拝が収録されているテープを盗んで、その上にN.W.A.などのテープをダビングしていた。カセットのジャケットだけ見ると、礼拝を聞いてるように見えて、カモフラージュでラップを聞いていたんだ(笑)。親は礼拝を聞いてると思ってて、そのテープの中身がドクター・ドレーだってことを知らなかった。
好きな音楽を聞くために、礼拝のテープにドクター・ドレーをダビングし、カモフラージュして聞いていたと明かしたDem Jointz。さらに彼は親にバレてしまったときのエピソードも披露している。
一度、親がいないときに洋服のアイロンをしながら、爆音でドクター・ドレーの「The Chronic」を聞いていたんだ。爆音で聞いていたため、父親が帰宅したことに気がつかなくて、彼がドアを開けて部屋に入ってきた。ドクター・ドレーの「Deez Nuts」が流れてたと思うんだけど、ちょうどラップが入ってないインスト部分が流れていたんだ。「うわぁ危ねぇーラッキー」と思ってたら、また俺の部屋に戻ってきて、「今の曲を巻き戻して最初から聞かせろ」って言われて、こっぴどく怒られてテープも捨てられたね。
彼は捨てられたテープをゴミ箱から復元し、聞き続けたという。しかし今では、ドクター・ドレーと一緒に仕事をするようになり、家族の集まりでも良い笑い話になっているようだ。「こないだ父親と会話してて、あのときテープを捨てたの覚えてる?」って笑いあったようだ。両親に禁止されていたアーティストが、直接彼のキャリアを前に動かす存在になったことを今でも夢のようだと語っている。
彼はドクター・ドレーの「Compton」でも、4曲プロデュースしており、今でもドクター・ドレーと肩を並べながら制作をしている。
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