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【スラング解説】滴るほどにイケてる?「Drip(ドリップ)」というスラングを解説

 

text: Sho Okuda

 

 

名詞で「滴(しずく)」、動詞で「滴る」などの意味を持つ英単語”drip”。ここ数年、この単語が意外な意味で用いられていることをご存知だろうか? ということで、今回はこの”drip”を特集する。「ジュエリー」を意味するスラングとして”Bling Bling”があることは以下の記事でも特集されているとおりだが、同様に”ice”なる単語も古くから用いられてきた。

 

【関連記事】「Bling Bling(ブリンブリン)」というスラングを広めたのは誰?フレーズを一躍有名にした楽曲「Bling Bling」について解説。

 

キラキラと光る氷がダイヤモンドに似ていることから、同単語は狭義では「ダイヤモンド」、広義では「ジュエリー」を指す。したがって、例えばフレンチ・モンタナ(French Montana)が”Iced out, no stylist”と言うとき、彼の意味するところは「ジュエリーでギラギラの俺にはスタイリストなんて要らねぇぜ」となるわけである。ちなみに、ここでの”ice”は名詞ではなく、「ジュエリーで〈人〉を飾る」という意味の他動詞として用いられていることにも注目したい。

 

 

氷は摂氏約0度で融けると水になり(融解)、水滴が滴り落ちる。このことから、近年では「水」を表す”water”や「滴」を表す”drip”が”ice”と同様に「ジュエリー」を意味するスラングとして使われている。さらに、”drip”には自動詞で「滴る」という意味もあることから、”drip”一語で「(ジュエリーで)着飾る」、さらにそこから転じて「イケ散らかす」くらいの意味でも用いられるのだ。

 

分かりやすい例をいくつか挙げておこう。

 

 

Mustard, Migos – Pure Water

 

 

Big drip, what you call it? (Big drip, yeah)
Ice chain, pure water (Ice, ice, ice)

大きな滴 何て呼ぶ?
氷のチェーン ピュアな水だ

 

このQuavo(クエイヴォ)のフックは、「氷(ice)」および、それが融けた「水(water)」、そしてその「滴(drip)」がすべて「ジュエリー」を意味することが一目で理解できる、優れたリリック解釈の教材といえるのではないだろうか。

 

 

Lil Baby × Gunna – Drip Too Hard

 

 

Drip too hard, don’t stand too close
You gon’ fuck around and drown off this wave

イケ散らかしてる あんまり近くに立つな
この波に飲み込まれて溺れるぞ

 

“drip”を語るうえで、やはりこの曲は欠かせない。今年リリースしたアルバム『WUNNA』でビルボード最高1位を獲得したガンナ(Gunna)は、これまでにリリースした作品のタイトルのほとんどに”drip”という単語を用いるほどの徹底ぶりを見せる「ドリッパー」だ。

 

 

Amber Mark – Put You On ft. DRAM

 

 

So meet me at 113th Street
You might not recognize me
Drippin’ in these diamonds
And wrapped all in this Gucci

113thストリートで会おう
私に気づかないかもね
こんなにダイヤモンドを着けて
グッチに身を包んでいたら

 

このように”drip”の自動詞用法はR&Bシンガーにまで浸透しているのだ。今後この”drip”がどのような広がりを見せていくのか、目が離せない。

 

参考: Genius | Song Lyrics & Knowledge (https://genius.com)

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