サンプリングはヒップホップにおける重要な要素の一つである。70年代前半にニューヨークのサウス・ブロンクスにて生まれたヒップホップは、既存の楽曲のブレイク部分を2つのターンテーブルで繋げる手法で人々を踊らせたのもあり、ヒップホップ・ビートにおいてサンプリングは欠かせない要素となっている。サンプリングへの愛を語るプロデューサー/アーティストは多く、EvidenceやDJ Premierはサンプリングという手法を「アート」と呼んでいる。今回は、そんなヒップホップの名曲へと生まれ変わった、元ネタの名曲たち5つ紹介したい。
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・THE OHIO PLAYERS – Funky Worm(1973年)
1973年のヒット曲「Funky Worm」。同曲のファンキーな高音シンセを耳にしたことがある方は非常に多いだろう。キーボーディストのWalter “Junie” Morrisonは、同曲にはArp Pro-Soloistを使用したと話している。G-Funkサウンドの起源と言っても過言ではないこちらの楽曲は、以下以外にも多くのヒップホップにてサンプリングされている。De La Soulの「Me Myself and I」は、Funkadelicの「(Not Just) Knee Deep」がメインのサンプルであるが、こちらの楽曲の声ネタも使っている。
・N.W.A. – Dopeman (1987年) / Gangsta Gangsta (1988年)
・De La Soul – Me Myself and I (1989年)
・Snoop Dogg – Serial Killa (1993年)
・Too $hort – Sample The Funk (1995年)
・Billy Squier – The Big Beat (1980年)
Billy Squierのデビューアルバム「The Tale of the Tape」に収録されている楽曲。その魅力的なドラムのサウンドはヒップホップ以外にもNine Inch Nailsの楽曲「The Perfect Drug」などにも使用されている。Billy Squierは印税により多額の利益を得ることになったが、同曲について「ヒップホップ・サンプリング・マスターとしてロックの殿堂入りはしたくはないが、貰えるものは貰ったほうがいい」と語っていた。
・Jay-Z – 99 Problems (2004年)
・James Brown – The Payback (1973年)
James Brownはファンクのゴッドファーザーというのもあり、多くの楽曲がサンプリングされているが、ケンドリック・ラマーがグラミー賞を獲得した大ヒットアルバム「To Pimp A Butterfly」の楽曲「King Kunta」にてサンプリングされたのが、こちらの楽曲。「The Payback」は合計で300曲以上の楽曲にサンプリングされており、伝説的な名曲として知られている。
・Kendrick Lamar – King Kunta (2015年)
・Timmy Thomas – Why Can’t We Live Together (1972年)
「Why Can’t We Live Together」は当時のBillboardのR&Bチャートにて1位を獲得した大ヒット曲として知られており、同曲のテンポを上げサンプリングしたDrakeの「Hotline Bling」が、43年後に再び同チャートにて1位を獲得することになった。
・Drake – Hotline Bling (2015年)
・George Clinton – Atomic Dog (1982年)
ParliamentやFunkadelicなどを率いるP-Funkの総帥、ジョージ・クリントン。P-Funkはヒップホップに多大な影響を与えているということが、同曲をサンプリングした楽曲たちを聴けばわかるだろう。スヌープ・ドッグなどのアーティストもジョージ・クリントンから大きな影響を受けたと語っており、大物ラッパーからも愛される伝説のアーティストである。
・Ice Cube – My Summer Vacation (1991年)
・Snoop Dogg – Who Am I (What’s My Name)? (1993年)
・2Pac – Holler If Ya Hear Me (1993年)