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【BUDDHA BRAND】”「人間発電所」のフックの真実!? / NIPPSがDEV LARGEから言われた言葉 “(後半)【インタビュー書き起こし】

渡辺:引き続き、OG中のOG、BUDDHA BRANDからCQさんとNIPPSさんをお迎えしております。よろしくお願いします。

NIPPS:僕、赤ちゃ~ん……!

渡辺:フフフ、貴重なニューヨークのお話とか帰国後のメジャーレーベルとのディールのお話なんかも伺ってきたんですけども。当時の楽曲制作のプロセスがすごい気になるなと思っていて。おそらく、DEV LARGEさんがプロデューサーという立場でいらして。で、曲を作っていかれていたのかなと思うんですが。たとえばまず、DEV LARGEさんが「今回はこういうビートでやろうよ」とか「こういうテーマで歌おうよ」とか、そういったものをみなさんに提示してから作るっていう感じだったんですか?

NIPPS:あのね、トラックを作って、それで「これでやろうよ」って言っていて。その間、ラップする人たちは常に出す・出さないにかかわらず、書いていたの。それでお披露目会をするの。3人で。別に曲を作る……だから仕込むっていうよりも、その前の予習がよくできていたから。復習をする時に形になりやすかったんだよね。

CQ:曲なんかは後だね。最初は。それで『ブッダの休日』とか後の方になって「こうやった方がいいんじゃねえか?」とかいろいろと考えてきて。そうなると、全然できなくなっちゃうグループなの。どっちかって言うと。わかる? 言っている意味。テーマが決まっちゃうとね、ダメなの。

渡辺:そうか。まずは最初、衝動的に作ってナンボみたいな?

CQ:そう。ライブをやるために書いて。人のトラックで勝手にやっていただけなので。それで「じゃあ自分たちの曲を作ってみようよ」「俺はこう!」って。もう何も相談せず、勝手に来て。それでフックはフックでまとめる感じで(笑)。

NIPPS:フックはスタジオで作るとか。

CQ:だからなんにも……ただ単に3人MCがいたら「みんないいから負けてられない!」って争っている感じなだけで。

渡辺:切磋琢磨。へー! たとえばじゃあ『人間発電所』とかもすごい印象的なフックがあるじゃないですか。あのフックとかはどうやってできたものか……。

NIPPS:(手を上げる)お答えします!

渡辺:あっ、お願いします(笑)。

NIPPS:あの『人間発電所』のフックは本当は俺のバースなんだよね。

渡辺:へー! えっ、あのラインがそのまま?

NIPPS:そう。バースで。本当は俺はバースの書き始めがあれだったの。ド頭だったの。俺のバースの。

渡辺:そうなんですか!

NIPPS:それを俺たち、その頃全員ニューヨークにいて。で、そのレコーディングのために帰国をして。で、俺は2週間しかしていた仕事を休めなかったから、とりあえずその2週間の間に2曲録るっていう話だったのかな? でも俺、途中で帰っちゃったから。で、結局尺が結構長かったんだよね。20何小節あったんだよね。で、それをそのバースを録ってペーストしたりして使ったんだよね?

CQ:そう。たぶん「おっ、ここをフックに使おう!」ってDEV LARGEが勝手に……あたかも自分が書いたようにやって(笑)。で、俺のところもなんか分けて複雑に……「複雑に」っていうか、ぶった切って。どんどんと切ったんだよ。貼っていく感じで。で、デミ(NIPPS)がいつの間にか「フックになってたんだ」って感じだったでしょう? 聞いてて。

NIPPS:そうそうそう。「あれ? フックになってる?」って。

CQ:あいつが勝手にやっているだけだよ(笑)。

渡辺:ああ、そうですか。えっ、「天まで飛ばそう」のところまでがデミさんのバースだったんですか?

NIPPS:うん。で、その後も続くんだけども。

渡辺:へー! そして今回、新しいアルバム『これがブッダブランド!』がリリースされたというわけですけども。これも、基本的にはDEV LARGEさんがもともと作ってらした楽曲を掘り起こして、今回まとめたという感じなんですか?

NIPPS:あのね、昔から残っていたトラック。ずっと大事に取っておいてあったトラックだとか……ちょっとね、時代が何個かに分かれているんだよね。

CQ:わかんないんだけどね。

NIPPS:あって出さなかったものを集めて作ったのが今回のアルバムで。

CQ:それはDEV LARGEの生きている時に意外とうまく行かなかったんだよね。でも、録るだけ録っていたのがあって……っていう感じだよね。アルバムをまた作ろうとしていて。それで途中からちょっと具合が悪くなってきたり、体が弱ってきちゃって。で、結局まあできないで終わっちゃったんだけども。それでできたっていうか、あるので出してみようってなったのかな。

渡辺:なるほど。おそらく、さっきNIPSさんがおっしゃっていた通り、いろんな時代のバースがそれぞれに入っていると思うんですね。で、おそらく『Punch(仮)』とかは当時のバースになるんですか?

CQ:「当時」っていうか……。

NIPPS:年号で言った方がわかりやすいかもね。「当時」っていうか。

CQ:なんでこれが出ていないのかもわからないんだけども。「こんなのがあったんだ」っていう感じで。

渡辺:へー。たとえば『Kushokan』とかは新しくお二人ともバースを今回書かれた?

NIPPS:だけどビートが、これはもうブッダだったら誰でも知っているビート。昔からDEV LARGEが持っているビートで。で、実はもうすでに入っているんだよね。

CQ:いちばん最初に出したアナログ。

渡辺:『ILLSON』の時の?

CQ:そこに入っているのかな?

渡辺:そこのB面のインストを使って今回、新たに『Kushokan』を……。

NIPPS:そう。それにリリックを乗っけたの。本当はもともとインストの曲なんだけども。

CQ:とりあえず行っておいて、後からラップで出したいってなっていたんだけども。ずーっとまあ、出すタイミングがなくなっちゃって。で、ちょっといい歌だから出してみようかってなって。まあ、DEV LARGEはいないけども、トラックで参加していればBUDDHA BRANDだっていうことで入れてみました。

渡辺:うんうん。なるほど。あと、最後に収録されている『Matador』。これも結構昔からある?

NIPPS:すっごい昔からある。もう本当、初期の……『Matador』なんかは本当に初期の初期。まだいっぱい出てないの、あるけどね。

渡辺:これもニューヨーク時代の曲ですか?

NIPPS:ニューヨーク時代。ニューヨークでキザワタカシと一緒に組んだビートじゃないかな?

CQ:なんかそれ、あまりにも大作だからちょっとみんな荷が重くなっちゃって。なかなか出ないで止まっちゃったんだよね。

NIPPS:そうそう。俺なんかはそのケースだもんね。昨日のインタビューでも言ったけども『ILLSON』と『魔物道』は俺、入ってない曲がいちばん好きだもんな。

渡辺:フフフ(笑)。

NIPPS:もう荷が重くて。あの2曲はかっこよすぎて。俺、ずっと正直に言っていたんだよね。でも「待とう、待とう。できる、できる」って。だからまあ、あの形になって出たりとか。

渡辺:でも今回、そうやって新しくバースをレコーディングした時にどういう思いでレコーディングしていたのかなっていうのはちょっと伺いたいんですけども。当時のことを思い出しながらとか……。

NIPPS:いや、なんかヒデ(DEV LARGE)がいないだけでBUDDHA BRANDの作業をしているっていう感じだったね。トラックがDEV LARGEのトラックだし。まあクリちゃん(CQ)と俺もずっと昔、最初から一緒だし。で、まあDEV LARGEがいなくて……でも、DEV LARGEのバースが残っていたりもしてたから。まあなんとなくヒデがいないBUDDHA BRANDのセッションっていう感じ。空気がね、そういう空気になるの。リラックスした環境で……まあ、DEV LARGEがいたらDEV LARGEがいたでまた面倒くさいんだけど。いろいろと。俺はね。

CQ:そう。いたらいたでね、出てない可能性があるのよ。

NIPPS:進まなかったりするんだよね。逆にね。

渡辺:フフフ(笑)。でも、DEV LARGEさんってやっぱりその「プロデューサー、DEV LARGE」としての顔と「ラッパー、DEV LARGE」の顔で。はたまた普通のお友達というか、「仲間のDEV LARGE」としての顔と。毎回変わる感じだったんですか?

CQ:成長してるんだかわからないよね(笑)。

NIPPS:っていうか、なんかニューヨークにいた頃は「今秀明」色が強かったけど、なんか1回DEV LARGEになっちゃってからは徐々に徐々に今秀明よりもDEV LARGEっていうキャラクターの方が比重が重くなっていった気がするんだよね。その、やればやるほど。

渡辺:うん。それはプロフェッショナルとしての意識がどんどんと?

CQ:そう。背負っちゃうんだよ。

NIPPS:でさ、俺は昔、言われたことがあるんだよね。「デミさんはもっとプロ意識を持たないと」とかって。「なにそれ? なに、プロ意識って?」って。

CQ:でも、イメージ的にはもうニューヨークのヒデの感じだけどね。俺はもう。だから、ビジネスが入ってくるとちょっと辛くなってくるんだけども、ビジネス入っている時の方が曲がいい曲ができるとは限らないっていう。「売れるためにこういう曲の方がいいんじゃないか?」ってミーティングをしても、うちらは全然上手くいかないから。

渡辺:フフフ(笑)。でも、いまもやっぱりその世代を何世代もまたいでも、やっぱりBUDDHA BRANDの持つカリスマ性とかユニークさとか成し遂げられてきたことっていうのは広く広まっていると思うんですよね。で、ちょっと前もアメトーーク!のラップ好き芸人の特集を……。

CQ:ああ、デミが出てたよね。

渡辺:そう。すごいフィーチャーされていて。『さんぴん』の時の。

NIPPS:ああ、見ました。見ました。

渡辺:見ましたか?

NIPPS:恥ずかしいです。

渡辺:フフフ(笑)。でも、ああいうちょっと若い世代がいま、BUDDHA BRANDをいまもなお、こうして語り継ぐみたいな。そういう姿勢はどういう風にご自身たちは受け止めてらっしゃるのかな?って。

NIPPS:嬉しいよ。

CQ:嬉しいことだよ。ありがたいっていう感じですね。

NIPPS:夢みたいな感じ。夢以上っていう感じ。そんなさ、だって全然知らないさ……昨日も14歳ぐらいの子が来てさ。

CQ:息子ぐらいの歳だもんね。

NIPPS:っていうか親子で。「お父さんがBUDDHA BRANDファンで。それの影響で僕もBUDDHA BRANDファンです」っていう親子がいたりとか。それとかやっぱり地方に行っていろんな全然知らない人が来て。「いや、すごいファンなんです。昔から聞いてました」とか。恥ずかしい反面、嬉しいよね。

渡辺:うんうん。

NIPPS:嬉しい方が大きいかな?

CQ:嬉しいよ。いっぱい来たら。

渡辺:ちなみにお二人ともに若い世代のラッパーとかDJの方と一緒に制作をすることもあるんですけども。どうですか? 感化されるというか、気付かされることとかありますか?

CQ:いっぱいすごいやつがいるんじゃないかな? と、思いますね。フリースタイルなんか特にすごいなって思って。

渡辺:そうですか。

CQ:でもみんな、がんばっているよね。すごいね。すごい真面目になっているね。まあ、職業になっているのかもしれないけども。俺なんかの時代はもう、めちゃくちゃっていうか。あまりそういうのよりも「どうだ?」っていう感じで出しただけだから。

NIPPS:っていうかいつ、どこで金をもらっていたんだろう?っていつも気になるんだよね、俺。

CQ:でも振り込まれていたんだよ。5000万ぐらい。

渡辺:ヤバいな(笑)。デカい! ちょっと若いリスナーに向けてそれぞれメッセージみたいなものをいただけますか?

CQ:若いリスナー? 実は俺、あげているような気がして意外と俺、もらいっぱなしなんですよ。ヒップホップにこう……自分が感動を与えているんじゃなくて感動をもらっているタイプなんですよ。デミとかもそうだし。若い頃もそうだし。だから本当は恩返しで返さなきゃいけないんだけど、いまだにもらっている感じ。なので……うん。がんばりますっていう感じ(笑)。

NIPPS:そうなんだ……。

CQ:もらいっぱなしだもん。俺。

NIPPS:あ、メッセージ? ないな。なんにも。みんなでがんばりましょう!

CQ:うん。「こうなったらダメだぞ」っていう感じ(笑)。

NIPPS:そう。ケンカはやめろー!(笑)。

CQ:こうなったらヤバいよ。

NIPPS:ケンカはやめろー! Be Nice!

渡辺:……ありがとうございます(笑)。というわけで、NIPPSさんとCQさん、BUDDHA BRANDのお二人をお迎えしました。ありがとうございます!

CQ:ありがとうございます。

NIPPS:ありがとうございます。

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