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Tank And The Bangasスペシャル・インタビュー!Tiny Desk出演でも話題になったニューオリンズのソウルバンド

Interview: Shiho Watanabe

 





 

 

ータンクというニックネームはどこから?

TANK:パパが付けてくれたお気に入りのニックネームなの。「タンク、タンク、マイ・ベイビー」って呼んでくれていたわ。小さい頃のニックネームで今もみんなから呼ばれているのは変な感じだけど、大好きな名前だから嬉しい。

 

ーティーンの頃はどんな音楽を聴いていたの?あと、あなたの音楽からはチャーチ(教会)のような雰囲気も感じるけど、教会でも歌っていた?

TANK:スティーヴィー・ワンダーやピーボ・ブライソン、テヴィン・キャンベル、あとはたくさんのゴスペルを聴いて育った。あと、ニューオーリンズは音楽の街だから自分の周りで流れている音楽はなんでも聴いていたわ。それに、スパイス・ガールズとかも聴いていたしね。そうそう、小さい頃から教会で歌っていた…っていうのも、パパは牧師だったの。だからいつも教会にいたわ。

 

ー最近、お気に入りのアーティストはいる?

TANK:ティエラ・ワックが大好き。あとはノーネーム!彼女とサバ、そしてスミノとのコラボ曲も素晴らしかったし、あのスムーズな歌声も大好きよ。

 





 

ーノーネームもポエトリー・リーディング出身のアーティストですよね。あなたも、歌手になる前はポエトリー・リーディングのシーンで活躍していたと聞きました。そのきっかけは?

TANK:もともと、いとこが詩を読むことを勧めてくれて、祖父母の金婚式に自作の詩を披露したのがきっかけ。その時に、「言葉ってとても自由で、私をどんなところにでも連れていってくれるんだな」と実感した。それで、家や教会で自作の詩を披露するようになったのね。ポエトリー・リーディングを披露するために、おばあちゃんが色んなところに連れて行ってくれたのが嬉しかったな。

 

ーちなみに、地元のニューオーリンズの音楽シーンはどんな感じ?

TANK :さっきも言った通り、ニューオーリンズは本当に多様な音楽が溢れているの。典型的なジャズ・ミュージックだけじゃなくて、アンダーグラウンドなバウンス・ミュージック・シーンもすっごく盛り上がっていて、私たちは全てをミックスして楽しんでる。あと、オープン・マイク・シーンもいい感じ。アンダーグラウンドなバーやライブハウスはニューオーリンズの街にずっと根付いてきたものだから。

 

ータンク&ザ・バンガズのメンバーともオープン・マイクのイベントで知り合ったんですよね?

TANK:そうそう。Liberation Loungeというイベントで知り合って、みんなで意気投合したの。もともと、イベントのハウスバンドとして「Blackstar Bangas」と名乗っていたから、そこにタンクをくっ付けてバンド名にしたわ。

 

ー普段の楽曲制作のプロセスはどんな感じ?

TANK:簡単よ!あのね、私がアドリブで歌っているボイス・メッセージをみんなに送るの、こんな風に(※実際に電話口でアドリブを歌ってくれました)。そうしたら、メンバーの男のたち(ボーイズ)がちゃんとした音楽にしてくれるってわけ。

 





 

ー今回の作品『Green Balloon』には、メンバーの他にも豪華なプロデューサー達が集結しています。アリシア・キーズやシー・ロー・グリーンを手がけたジャック・スプラッシュから、クロスオーヴァー・ジャズ界の騎手であるロバート・グラスパー、そしてトラップ・シーンを率いてきたゼイトーヴェンまで。あなた達メンバーとプロデューサー陣とのケミストリーもバッチリですよね。

TANK: ありがとう!外部のプロデューサー達と仕事をするのは初めてだったのよ。

 

ーアルバムを作るプロセス的にはどんな感じだった?

TANK 前作とはまるっきり違ったわね。外部のプロデューサーと一緒に曲を作ったこともなかったから。ありがたいことに、このアルバムにはたくさんのジーニアス(天才)たちが関わってくれた。

 

ーどんな風に作業を進めていったの?

TANK レコーディング中は、「この制作は一体いつ終わるんだろう?」という感じだった。毎日めまぐるしく心の中が変化していって、スタジオに行くにも心配な気持ちでいっぱいな日もあった。まず、それぞれのプロデューサーたちとサウンドの方向性を決めて、みんなのグッド・エナジーを集めながら曲を仕上げていった。それ自体は簡単なことだったけど、最後、楽曲のミックスをする段階までとても神経を使いながら制作にあたったわ。

 

ー実際に、複数の外部プロデューサーと制作するという環境はどうだった?

TANK:今作に関わってくれたプロデューサーは、みんなコーチのようだった。それぞれ違う選手に、的確なアドヴァイスを与えてくれた。どのプロデューサー達も、私たちのすべての感情をいかに楽曲に落とし込むか、ということを教えてくれて、コーチ達の意見(オピニオン)を聞いて、パーソナルなことから技術的なことまで話をしながら作っていったわ。特に、ジャック・スプラッシュとの仕事はとてもクールだった。驚いちゃうぐらい、素晴らしいケミストリーが生まれたと思うわ。彼、スタジオにいるときはずっとサングラスをしたままで、どんな人なのかしらって訝かしかったんだけど、一緒に制作すると凄まじいエネルギーだった。

 

ーゼイトーヴェンが手がけた「Dope Girl Magic」では、シアラ「Level Up」のフレーズを引用していて、とてもクールだと思いました。

TANK :引用?聞いてよ!この曲、シアラの「Level Up」がリリースされるずっと前に書いた曲なのよ!信じられないかもしれないけど。シアラのおかげで「Level Up」ってフレーズがよりキャッチーになったから、みんなもこの曲を聴いたら「おお!」って思うと思う。ゼイトーヴェンは、私たちがLAで行ったライブに来てくれたの。すっごくクールな人で、すぐに一緒に曲をやろう、という流れになった。彼はすぐにビートを作ってくれて、すごいスピードで出来た曲なの。

 

ーロバート・グラスパーが今作に携わった経緯は?

TANK:ロバートとは、2017年にワシントンDCで開かれたNPR Musicの10周年コンサートで出会ったの。同じ部屋にビラルもいて、(ザ・ルーツの)ブラックソートもいて、本当に忘れられない夜だったわ。で、そこからいつか一緒に曲を作りたいと言ってくれていたんだけど、まさか実現するとは思わなかった。まさにマジックよね。

 

ーあなたたちのライブ・アルバムもどれも最高で、いつか実際のステージを観てみたいと思っています。

TANK:ライブ・パフォーマンスは、本当にスピリチュアルなもの。どんなに疲れていても、ステージに上がってオーディエンスの歓声を聴くと色んなことが吹き飛ぶわ。ステージにいる間はスペシャルな時間にしたいし、オーディエンスにも最高の「体験」をして欲しいと思っているの。ライブでは本当に色んなところに行ってるけど、次に行きたいのは日本!絶対に行くから、それまで待っててね。

 





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