今までJay-Zやケンドリック・ラマーをプロデュースしてきたノースカロライナ出身の凄腕プロデューサー9th Wonder。そんな彼がNPR Musicに出演し、自身のルーチンや、ケンドリック・ラマー「DAMN.」の最後の曲である「DUCKWORTH.」について語っている。
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「DUCKWORTH.」はケンドリック・ラマーのアルバム「DAMN.」のラストを飾る楽曲である。こちらは3つのビートが組み合わさった楽曲であり、9th WonderはTed Taylorの「Be Ever Wonderful」や、Septemberの「Ostavi Trag」、Hiatus Kaiyoteの「Atari」の3つをサンプリングしているのだ。Hiatus Kaiyoteはオーストラリアの人気ネオ・ソウル/ジャズバンドであり、9th Wonderの友人たちでもある。
この楽曲について、彼はこのように語っている。
「DUCKWORTH.」の3つのビートは3つの違う国、3つの時代、3つの違うジャンルの音楽によって構成されている。ケンドリックの人生について話していて、彼自身と、彼の父と、Anthony Tiffith(TDE代表)という3人の人物が登場する。これについてケンドリックにはまだ聞いてないけどな。「これは狙ってやったのか?」って今日聞いてみるよ。
9th Wonderは、「DUCKWORTH.」の3つのビートをこのように形容した。この「3の要素」が集まった楽曲をプロデュースするにあたり、彼はどのようなマインドセットで作業をしていたのだろうか?彼はこのように語った。
「レコードの全ての楽曲を聴くんだ。他のプロデューサーがそのレコードをサンプリングしようとした頃には、「9th Wonderがいい場所を全部使っちゃって、何も残ってないじゃん」と言われるように。Hiatus Kaiyoteのレコードもそうだ。彼らのサンプルを使用したビートは8個くらい作ったな。時代に関しても、(昔のレコードからたくさんサンプリングしたのもあり)、徐々に「現代」となる、自分の友達の曲とかをサンプリングし始めたんだ。」
このようになぜ自分が「現代」となる友人のバンドをサンプリングしたかについて語った9th Wonder。彼は常日頃から多くの楽曲をサンプリングし、ビートを大量に作っているのもあり、サンプリングの定番となる昔のソウルだけではなく、「現代」のサウンドもサンプリングしているのだろう。Hiatus Kaiyoteのアルバムからだけで、8個ものビートを作ったという話しを聞くと、「普段からどのぐらい数の作っているのだろうか?」と気になるところであるが、彼は先輩プロデューサーでもあるPete Rockのルーチンから学び、毎日の活動に数字的目標を掲げていると明かした。
「Pete Rockが週に25個のビートを作っていたという記事を読んだことがある。そこで(バスケに例えて)俺は毎日1000本のジャンプショットを練習することができてるのか?それとも毎日200本しか打ててないのか?と考え始めた。
そして俺が思いついたのは、「30 before Thursday」というルーティンだ。月曜日に始めて、木曜日までに30個のビートを作るのがゴールになる。」
彼は毎週木曜日までに30個のビートを作ることを目標にしていると語った。このように自分に数字的目標を課すことにより、毎日のビート作りにコミットができるということであろう。実際に自分が尊敬するアーティストの「結果」だけを真似する人は多いが、実際には彼らが結果に到達するためにした「経過」を参考にするのが、一番成長になるということもある。
そんな彼は、次世代のプロデューサーたちが、高いレベルで成長しているとも語る。
「Pete RockやDJ Premierが俺に教えてくれたことをやっているだけなんだ。James Brownが彼らに影響したようにね。受けたものを繋いでいっている。」
このように、自分の結果だけではなく、「経過」を公開することにより、それに影響された次世代が成長するのだろう。