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カニエ・ウェストが公開したレーベルとの契約書から読み取れる内容。彼は原盤権を取り戻すことができるのか?

 

最近、自身とレコード会社との契約について、Twitterで不満を爆発させていたラッパーのKanye West(カニエ・ウェスト)。彼は昨年1月にもSonyやUniversal Music Groupなどを訴訟したりと、レーベルとの契約内容に対して怒りを露わにしていた。今年に入ってからも、アーティストが原盤権を所有することが重要だと主張し、この実現のために努力していくと連日ツイートしている。

 

 

「私たちは全てのアルバム契約、出版契約、グッズ契約、ツアー契約などを、透明性の高いものに変えていく、ドレイクの契約を除いてな。笑 それは冗談だ。俺はドレイクのことも好きだよ。全てのアーティストは自由である必要がある。」

 

また、既に消されたが、「SonyとUniversalの契約が切れるまで音楽をリリースしない。ああ神よ。」といったツイートをしていたりグラミーのトロフィーに小便をしている動画なども投稿していた。こうした一連のツイートの中で、カニエは114 ページに及ぶレーベルとの契約書をツイッター上に公開した。そこには、カニエがキャリア初期にRoc-a-Fellaと結んでいた契約内容、Jay-Zとのコラボアルバム「Watch the Throne」、彼が所有するサブ・レーベル「G.O.O.D. Music」の構造についてなどが記されていた。こちらについて、Complexがまとめていたのでそちらを紹介し、DJ BOOTHが投稿していたアメリカの法律に関する専門家の意見も簡潔に紹介したい。

 

Complexによると、以下の点が公開された契約書から読み取れるようだ。

 

カニエはレーベルが準備した制作予算を頻繁にオーバーする

 

カニエはキャリアをスタートさせた頃から、レーベルの予算を大幅に超える金額を制作に投じてきた。デビューアルバム「The College Dropout」の収録曲「Through the Wire」のために350万円を自費で支出したのは有名な話であるが、その後も大金を制作に充て続けているようだ。

 

 

その後も、「Yeezus」や、カニエが製作した映画「Cruel Summer」は、それぞれ予算を1億5000万円ほどオーバーしていたようだ。「Cruel Summer」のアルバムも1億3000万円ほどの予算オーバーだった。

 

カニエの取り分

 

カニエは「Yeezus」の制作のために12億円ほどの予算をレーベルから得ていた。その内の2/3にあたる8億円ほどは、彼個人の収入となる金額で、残りはレコーディング費用、サンプルのクリアランス費用など、アルバムの制作に必要となる金額であった。アルバム「Watch the Throne」の制作においても、1億円の収入と1億5000万円の予算を得ていた。レコーディング予算に関しては、余りの金額はカニエが必ず所持できるという条項が必ず記載されていたが、ここまでのパターンから、カニエは恐らく予算を毎回オーバーしていたと見られている。

 

 

「The Life of Pablo」の制作には、3億円の収入と3億円の予算という、「Yeezus」よりも大幅に少ない金額が契約書には記載されていたが、こちらはのちの変更された可能性は高いようだ。また、諸々のボーナスも存在しており、例えば彼のセカンドアルバムである「Late Registration」がリリースから11ヶ月以内にトリプル・プラチナ認定(300万枚以上の売り上げ)を受けた場合、5000万円のボーナスが得られること、また締切に間に合う形でアルバムをレーベルに提出すると、7500万円のボーナスがつくこと、などが書かれている。

 

 

「失われたYeezusの音源」が存在する

 

契約書の中で、カニエには新アルバムのリリースに加えて、「過去にレコーディングされた、リリースされていない」音源である「失われたYeezusの音源」をリリースするオプションがある、と書かれている。勿論カニエはその後「The life of Pablo」の制作に取り掛かったので、これは現実となることがなかったが、いずれはリリースされるのではないかという希望が残る記述である。

 

今後、(一部の)原盤の権利を(いつか)取り戻せる(可能性がある)

 

彼の初期の契約書には、原盤について「世界的に例外なく永久に(中略)全てRoc-a-fellaの所有するものとする」との記述がある。しかし、2012年の契約を見ると、彼の6枚目と7枚目のアルバムに関しては、20年後、カニエに原盤権が移ると記述されている。その時点で、レーベルが用意した予算を超える収入を、このアルバムを通してレーベルが得ていた場合、こちらは無料でカニエのものとなるが、リクープできなかった場合には残りの金額をレーベルに収めることで、権利はカニエのものとなる、という内容となっている。カニエはこの「アルバムを通してリクープする」という設計的にリクープできないようになっているとも批判していた。

 

 

DJ BOOTHでは、カニエが公開した契約書に関して、アメリカのクイニピアック大学で法学教授を務めているZach Scott Gainous氏に意見を求めている。そちらでは、主に2つの点が紹介されている。

 

 

ロッカフェラとの契約は良くなかった

 

Zach Gainous氏は以下のように語っている。

 

「彼が最初に結んだRoc-A-Fellaとの契約は、アーティストにとって利益となるものでもないが、彼がその後UMGと結んだ契約は、彼が得たアドバンス(制作前に与えらえる前金)と、彼が予算を度々オーバーすることを考えると、悪い内容ではない。」

 

 

UMGが原盤の権利を渡さない理由

 

カニエは現在、20年後に原盤の権利を取り戻せるという契約を結んでいるが、この期間が長いことについては、次のように書かれている。

 

「20年という長期間である理由は、カニエのアドバンス及びレコーディング費用の膨大さ、そして彼が予算を頻繁にオーバーすることが理由であろうと考えられる。他の原盤の権利に関する記述は、不合理であるわけではない。」

 

Zach Gainous氏によると、投資している金額が大きいため、レーベルが原盤を手放すのに躊躇している状態であることが考えられるようだ。

 

 

アーティストが原盤の権利を取り戻せるようになるために奮闘すると語っていたカニエ。彼の今後の動向に注目である。

 

(thumbnail: David Shankbone / CC BY (https://creativecommons.org/licenses/by/3.0) )

 

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