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ケンドリック・ラマーとコービー・ブライアントが語った「グレイテスト」への道のり。2017年に行われた二人の対談を振り返る。

 

新アルバムのリリースが間近であるとも噂されており、先日はMVを撮影している現場が目撃されていたKendrick Lamar(ケンドリック・ラマー)。現代のヒップホップを代表する存在であり、現代の「グレイテスト」であるとも言われるケンドリック。そんな彼は、今は亡きバスケ界の「グレイテスト」の一人、Kobe Bryant(コービー・ブライアント)と2017年に対談していた。今回はそちらのComplexのインタビューの内容を紹介したい。

 

 

インタビューアーはまず、キャリアをスタートさせた当初の自分と、今の自分を比較して、どのような違いあるかをそれぞれに問うた。二人は以下のように答えた。

 

コービー:まだ背番号が8番だった頃と、24番の頃の私は、全く異なる人物だった。NBAで成功すると言うことは、他の全員を倒すと言うことなんだ。「ここが私の居場所なんだ」って示す必要がある。8番を着ていた頃はそんな感じだった。でもしばらくして成長すると、自分が優位に立つことよりも、他の人をどう成長させるか、グループとしてどうやってレベルアップするかが大切になってくる。その違いが最も大きい。でも8番を着ていた頃に本気で「狩り」をするかのように戦っていたからこそ、24番の頃の自分があったと思う。

 

ケンドリック:K.Dotとして活動していた頃と、ケンドリック・ラマー/Kung-Fu Kennyとしての今には、大きな違いがある。まさにKobeが言った通りで、K.Dotのときは、最強のリリシストになる準備をしていた。韻の踏み方においても、メタファーの使い方においても、パンチラインでも言葉遊びでも、同じ曲に参加する奴らには絶対に負けないというマインドセットを持っていた。でも、当時の私にはソングライティングの技術がなかった。そこが1番の違いだ。Kung-Fu Kennyになって、楽曲制作の達人となったが、そこにK.Dotの時に得た作詞力が合わさって、今は音楽への向き合い方として平静な立場をとることができている。それによって、スタジオにいる友達にだけでなく、世界に共感される音楽を作ることができている。

 

キャリアをスタートさせた頃は、二人とも「自分」が最強になることに対する執着があったのに対し、成長するにつれて、視野が広がったことが二人に共通するメンタル面での変化であると言えるだろう。二人は次に、自分のキャリアをスタートさせた当時から「グレイテスト」になる気持ちを持っていたのか、それともその気持ちは徐々に生まれたのかについて語った。

 

コービー:私は初めから、ベストになろうと決断していた。ベストになれるかどうかなんて、最初からわかるはずがないんだ。人は選択をしなければならないし、そのために犠牲にしなければならないこともある。そして、自分と約束したからには、後戻りすることはできないんだ。

 

インタビューアーに、バスケを選ぶきっかけとなる試合があったかと聞かれたコービーは、以下のように答えた。

 

コービー:18歳の頃、とある練習試合で負けて、私はテーブルをひっくり返したり、椅子を投げたりして大いに怒った。チームメイトには「ただの練習試合なんだから気にするな」って言われたけど、私は「ただの練習試合なんかじゃねえ!」って感じだった。そして、ロッカールームに戻って思ったんだ、「確かにこれはただの練習試合だ…私は他の人以上にバスケで勝つことにこだわっているのかもしれない、なんでずっと怒っているんだろう?」ってね。みんなは気にしていなかったようだけど、私はその試合で負けたことが翌朝まで悔しかったよ。それが、人よりバスケに執着しているんだなと気づいた瞬間だった。

 

ケンドリック:私の場合は少し違った。ずっと近所の友達とラップしたりスタジオに入ったりしていると、その人たちだけが自分の観客であると感じる。特にコンプトンという小さなところが出身地だとね。だから初めて海外に行った時、最前列の人たちが母親宅のキッチンで書いた自分の歌詞を覚えて歌ってくれたことが、大きな衝撃だったんだ。それがきっかけで、俺は音楽に対してのアプローチが変わったし、音楽に対する気持ちが大きく変化したんだ。自分の言葉は自分や友達のためだけではない、今まであったことのない人が私の言葉に共感してくれてるって。自分が楽しんでいるのと同じように楽しんでくれる人が世界中にいる。それに気づいたことが、継続させる原動力をくれたんだ。

 

これまでの歩みにおいて、それぞれに取って印象的だったのが、コービーはバスケに対する執着への気づきという内向きな気づきであったのに対し、ケンドリックは他者への影響力を理解するという、外向きな気づきであったようだ。3つ目の質問として、グレイトになるために必要だと言われる、努力やマインドセットなど以外に、人が見落としていることは何かと問われた二人は、以下のように答えた。

 

コービー:一つの道を辿って努力し続ければ、簡単にグレイトネスに到達できると思っている人も多い。グレイトネスとはそんなものではない。時にはダークな感情や経験を、自分の推進力として使う必要がある。人によってはそれを障害物として認識してしまうが、こうした「不安、怒り、恐怖」と言ったものは、本当は愛と同じくらい大切なんだ。これが簡単だったらライオンばかりの世の中になってしまうな。世の中にはライオンも必要だが、ライオンにはガゼルも必要なんだ。

 

ケンドリック:あとは、コービーの言った「不安、怒り、恐怖」を乗り越えられるかもしれないという好奇心が大切だ。乗り越えた時、新たなものにチャレンジしたくなるんだ。その好奇心がインスピレーションとなる。

 

不安、怒り、恐怖と言ったネガティブな感情を使うことが大切であると語った二人。それを試合にぶつけるコービーに対し、スタジオで向き合い、作品として感情そのものを形にするケンドリックの態度の違いが、この発言に現れていると言えるだろう。

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