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コンプトンのギャングスタ・ラップOGの成長と、ファンの意識の差。「ファンが和平を求めないこともあるんだ」

 

 

90年代にLAコンプトンのギャングスタ・ラッパーとして人気を博したMC Eiht(MCエイト)。彼はギャングCripsのメンバーとして知られており、彼の作品は、まさにLAのギャングスタ・ライフスタイルを表現したものが多かった。彼の存在をケンドリック・ラマーの「m.A.A.d city」で知った人も多いだろう。そんな彼は、同じくコンプトン出身のレジェンド、DJ Quikと長年ビーフをしていたことでも知られており、DJ Quikはライバルギャングであるブラッズのメンバーであったことから、死人が出るほどビーフは激化をしていた。彼らはスヌープ・ドッグやDaz Dillingerの手助けもあり、2002年頃にビーフを解消し、和解したのだが、そのときのファンの反応について、この度Talib Kweli(タリブ・クウェリ)の番組「Party People」にて語った。

 

彼は自身が成長し、和平のために動いても、ファンがそれを認めてくれないという葛藤について心境を明かした。

 

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MC Eihtとの和解や、平和についてラップしたDJ Quikのアルバムが、ファンから評価されなかったことから会話が始まった。当時、DJ Quikはアルバムが評価されず、「ファンは平和を求めていなかった」とガッカリしていたようだ。番組ホストのタリブ・クウェリは、「ギャングスタラッパー的には、同じようなことを感じたりする?」とMC Eihtに質問した。

 

MC Eihtは自身もファンからそのような反応を受けることがあると明かした。「俺をここまで連れてきてくれたファンを満足させたいという気持ちはあるけど、今でも”昔みたいな内容をラップしてほしい”ってコメントがあるよ。でも、もう2020年なんだ。今でも走行中の車から銃撃することについてや、銃を持ってインパラに乗り込んだりする内容をラップしてほしいのか?もう俺は成長し、その時代は終わったんだ。ファンを満足させるためにアーティストは曲を作るけど、アーティストとして成長して、自分の表現も変わる時期がくるんだ。

 

特に子供がいると変わる。俺はもう18歳の時のような考え方をしてない。今は平和を求めている。金を投資したり、楽しい時を過ごしたりしながらも、ファンがエンジョイできるものを試行錯誤する。俺やDJ Quikのような人からすると、そういう今までと違う内容の音楽をリリースすることはリスクなんだ。

 

このようにギャングスタラップによって地位を獲得したラッパーには、自身の成長と、ファンの好みの間でギャップが生まれることがあるようだ。しかし、ここまで連れてきてくれたファンたちを満足させるものは作りたいとMC Eihtは語った。

 

彼はフッドやギャングスタ・ライフスタイルにおける問題についてラップしたことにより、自分の状況と照らし合わせて救われたファンが多いことも理解しており、そのような「リアル」さを、ファンが今も求める気持ちもわかると明かしている。しかし「俺はもうそのような生き方をしてないし、これからは今までとは違う方法で、色んな人にとって学びがあるラップをしたいと思ってるよ」と語っており、今後もコンプトンのレジェンドは、今後も自身の「リアル」を表現することにより、多くのファンを満足させるのだろう。

 

 

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