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新作アルバムが期待されるプレイボーイ・カルティのMVから彼のファッションを読み解く!

 

 

Text: Shintaro Kurokawa

 

2020年、3rdアルバムとなる『Whole Lotta Red』のリリースが待たれるプレイボーイ・カルティ。ラッパーとしてはもちろん、ファッション・アイコンとしても多くの注目を集める彼。本記事では、カルティのクリエイティビティが存分に発揮されたミュージックビデオを過去作から最新のものまで解剖し、ミュージックビデオ内で見せるスタイリッシュなファッション・コーディネートにフォーカスを当てていく。

 

「Magnolia」(2017)

 

彼の代表曲と言っても過言ではない1曲。ニューオーリンズの危険地帯、マグノリア・プロジェクト。そんな気分でニューヨークでの自分の生活をサバイブしていると歌ったこの曲には、当時の彼のラウドなクリエイティビティを模索する方向性が示されたミュージックビデオに仕上がっている。ニューヨークの街角やクラブ、ハウス・パーティでたむろする彼らの様子を、アグレッシブなエフェクトと、雑多でありつつも独創的なカメラワークで構成。映像制作は彼の所属するAWGEが担当。AWGEはご存知、A$APロッキー率いるクリエイティブ・チームだ。スピーディに進むビデオの中で、カルティはRick Owensのボンバー・ジャケットやシューズを軸に身を包み、インナーにはさらっと2パックのヴィンテージTシャツが見える。日本でもいまだに根強い人気を誇るヴィンテージTシャツだが、アメリカにおけるこの類のウェアへのプライスは異常なほど高騰しているのも事実。

他にも、本作ではISSEI MIYAKE、BALMAN、SUPREMEなどキッズたちが喉から手がでるほど欲しがるアイテムを次々と着こなしている。同時に、楽曲の爆発的ヒットとともに、このMVではインディー・ブランドの知名度も一気に知らしめることとなった。その象徴となるのが、バーバーのシーンで着用したPleasuresの一枚のTシャツだ。2015年にスタートしたばかりのブランドながら、世界各国のキー・ストアたちが注目し、当時のストリートでは既にある程度の名前は通っていたブランドである。そこに、カルティが着用したことで一気にその名を知らしめることとなった。AWGEのクリエイションでカルティが着用となれば放っておくはずがない。「A GIRL IS A GUN」と書かれた一枚のTシャツをきっかけに、日本でも多くのショップやバイヤーたちが買い付けることとなる。

 

 

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「R.I.P.」(2018)

 

2018年にリリースした2枚目のアルバム『Die Lit』から「R.I.P.」のビデオをピックアップ。
前作となるアルバム『Playboi Carti』から発表されたビデオは、彼の活動拠点でもあるニューヨークを意識したローカル・カラーが強いイメージだった。そこから作風がガラッと変わり、無駄を削ぎ落としたソリッドな印象が強いこのビデオ。全編にわたって広がるモッシュ・シーンを巧みに切り取り、モノトーンの躍動感ある画が押し寄せるエネルギッシュな作品だ。男女人種を問わず入り乱れながら通して描かれるのは、衝動やエネルギーという印象。カルティのシンプルなマンブル・ラップだからこそ映えるディレクションだ。おそらく20~30人くらいはいそうなエキストラたちが着こなすのは、時代を超えたロック、パンク、スキンズ・ファッションだ。ライダース・ジャケットやリッピングTシャツ、ボディ・ピアスにモヒカン・ヘアと、定番スタイルがこれでもかというくらいてんこ盛りでが、全体的にはスタイリッシュに仕上がっている。カルティ本人もCARHARTTのダックベストにローリング・ストーンズのヴィンテージTシャツ、Rick Owensのコーティング・デニムパンツにAir Jordan 1 Royalをさらっと着用。エレガントさやトレンド感というよりも、まるで普段の彼のワードローブといった趣が強く、ビデオの印象をしっかり掴んだスタイリングで剥き出しのカルティを見せてくれている。脚色がないシンプルな衣装だが、彼自身の際立つカリスマ性を感じさせるビデオ作品だ。

 

現代に表現するラウドロック・ファッション

 

 

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2020s/s exhibition NEO FANCISM

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R H U D E SS20 by @iulia_matei

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「@ MEH」(2020)

 

2020年4月16日に突如として公開された待望の新作「@MEH」は、ミュージックビデオも同時に公開された。
今回のMVのディレクターは、前述にも記した「R.I.P」も手がけたNick Walkerが担当。フレディ・ギブス、ザ・ウィーケンド、FKAツイッグスなどのMVも手がけるニックとの二度目のタッグは、「R.I.P」の時に相性抜群の仕上がりだっただけに必然性を感じる。本編では薄暗いスタジオとシンプルな撮影セットが組まれた中で、ひたすら新曲を歌い上げる本人の姿が配される。また、ジャッケット・フォトを撮影したGunner Stahlが取り下ろした写真もMV内で各所にレイアウトされており、シンプルでありつつもカルティのイメージが具現化された内容に仕上がっている。

 

https://www.instagram.com/nickwalkerstudio/

https://www.instagram.com/gunnerstahl.us/?hl=ja

そんなセットの中で彼が着こなす衣装は、普段からも愛用しているRick Owensの新作たちで、ダークでテクニカルなシャツやカーゴパンツをメインにセレクト。足元には、白のAnn Demeulemeesterのブーツを合わせている。このブーツはカナダ、モントリオールを拠点に置く大手オンライン・セレクトショップ、SSENSEの別注モデル。オールブラックのコーデに足元だけ外すニクい組み合わせはさすがだ。Rick Owensを愛用するアーティストは数多く見受けられるが、これだけクセの強い世界観あるアイテムを着こなすセンスは、カルティが随一なのではないだろうか」。

ムービー、フォトグラフィー、ファッションの要素がミニマルにまとまった世界観を堪能しながら、新作「Whole Lotta Red」のリリースを待ち続けたい。

 

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