現代のヒップホップでは定番のエフェクトとなったオートチューン。中でもTravis Scott(トラヴィス・スコット)は、オートチューンにおける自分のスタイルを確立しており、彼の新曲「HIGHEST IN THE ROOM」でもそのサウンドをチェックすることが出来る。そんな彼のレーベルであるCactus Jackのエンジニア、CA$HPASSIONが、彼のオートチューンについて語った内容を紹介したい。
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Geniusのインタビューにて「トラヴィス・スコットが作り上げたサウンドが現代のヒップホップにもたらしている影響力」についてCA$HPASSIONは、以下のように語っている。
クレイジーなくらい影響力があるよね。直接関わっている者からすると、どれくらい影響力があるのかハッキリはわからないけど、実際に多大な影響を与えているのは確かだ。「Travis Scott風のビート」みたいなのもネットにたくさんあるし。一つのジャンルみたいなものだ。「トラヴィス・スコットのサウンド」という風に言うやつもいるだろう。そんなところまで来たと思うとクレイジーだね。
トラヴィス・スコットの影響力について語ったCA$HPASSION。ネットに「トラヴィス風のオートチューンの作り方」というような内容の動画が多くあることについても、コメントしている。
皆なにか特別なオートチューンのかけ方してると思ってるのウケるよな。実際にトラックで使ってるオートチューンはめちゃくちゃ薄くかけてるだけなんだ。トラヴィスは、オートチューンを楽器みたいに使っていて、あれはほとんど彼の地声からくる声質とトーンなんだ。みんな俺たちが物凄い特別な設定をしていると勘違いしてるみたいだけど、本当はシンプルな設定しかしていない。もちろん俺が加える秘密は少しあるけど、トラヴィスのサウンドとしては彼の地声成分が多い。
「トラヴィスのようなオートチューンを真似したい」と希望するミュージシャンも多いが、トラヴィスのオートチューンは、薄くかけているだけであり、設定も特別なことをしていないと語ったCA$HPASSION。実際には彼の声のスタイルや、歌やラップにおけるスキルがあるからこそ、あそこまでオートチューンが上手く馴染むのだろう。以前The InternetのSydも「そもそもちゃんと歌えないのなら、オートチューンを使用しても意味がない。元々歌えない人がオートチューンを使っても逆に歌が酷く聞こえるんだ。実際にどんなにオートチューンを使ったとして、最適なテイクを録らないといけない」と語っていたように、元のスキルがあるからこそ、「エフェクト」としてのオートチューンの力を引き出すことができてるのだろう。
他にもCA$HPASSIONは、ASTROWORLDの制作プロセスについても話している。
「制作期間は3年くらいだったかな。SICKO MODEが一番時間がかかったかもしれない。難しかった訳じゃないけど、長かった。彼は曲のアイディアを既にいくつか持っていたけど、彼は早期から曲の要所要所とかインストだけとか、ヴァースの半分だけのノートとかを持っていたんだ」