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グランド・セフト・オートシリーズと音楽 – サウンドトラックの歴史と進化を辿る

 

 

仮想世界における非日常的なアクションや、個性的なキャラクターによるストーリーが人気を博し、ゲーム業界において独自の地位を築いてきたGrand Theft Auto(グランド・セフト・オート: GTA)シリーズ。GTAシリーズにおける人気コンテンツの一つとして、プレイヤーが自身で選択できるラジオ局がある。GTAをプレイしたことのある人ならば、ゲーム内で運転しながら、好きなラジオ局を選んだ経験があるのではないだろうか。GTAといえば、最近ではTyler, the Creator(タイラー・ザ・クリエイター)やA$AP Rocky(エイサップ・ロッキー)が参加したり、ゲーム内にドクター・ドレーが登場したりと、様々なアーティストと交流があるゲームである。今回はGeniusの動画を参考に、GTAと音楽の歴史を辿っていきたい

 

【関連記事】GTA5にドクター・ドレーとジミー・アイオヴィンが出演。ドレーが裸の写真と未公開楽曲が入った携帯を紛失したという設定

 

GTAの歴史は20年以上前に遡る。第1作目である「Grand Theft Auto」は1997年に発売され、第2作目の「Grand Theft Auto 2」は1999年に発売された。こちらの作品から既にゲーム内にはラジオ局が存在し、プレイヤーは音楽を聴きながら車を運転することができた。しかし、今のGTA Radioとは違い、ラジオ局に本物のアーティストは登場しなかったのである。この理由について、元Rockstar Games(GTAを開発した会社)の社員であるCollin Anderson氏は以下のように語っている。

 

ラジオを作る上で重要だったことは、偽物のアーティストしか居てはいけないということだった。何故なら、本物のアーティストを連れてきた時点で、それはパラレルワールではなくなってしまうからだ。

 

しかし、この伝統はGTA 3にて変化することとなる。シリーズ3作目となる「Grand Theft Auto 3」には、Game Radio FMのホストとして、ベテランDJのStretch ArmstrongとLord Searが登場している。

 

第4作目の「GTA: Vice City」では、宣伝においてKool & The Gangの「Summer Madness」や、A Flock of Seagullsの楽曲「I Ran (So Far Away)」を採用しており、前作より実在のアーティストによる楽曲や実在のDJがゲーム内に登場している。知名度のある楽曲を使うという選択は、大きなターニングポイントであったと、Rockstar Gamesのミュージック・ディレクターであるIvan Pavlovichは語っている。

 

Vice Cityは、ゲームにおいて、ラジオ局というコンセプトを定着させ、そのブランディングをしたこと、また有名なDJをホストとして呼んだり、有名な楽曲を使ったりした点において、大きな変革を起こしたものだと思っている。

 





 

その次回作である「GTA: San Andreas」には、元々10局であったラジオ局が12局に増えている。中でもDJ Julioがホストを務めるRadio Los Santoでは、2Pac やN.W.A.の楽曲がオンエアされ、ラジオ内でIce CubeとN.W.A.のビーフに言及するなど、実際のラジオ番組のようなトークも行われている。

 

「GTA IV」では、Gang Starrの一員であり、ヒップホップに欠かせないプロデューサーであるDJ Premierが出演。DJ Premierはゲームのために新たなミックスを制作しており、作品内でも自分自身として、ラジオ局のホストを担当している。

 

「GTA V」では、ゲームのオリジナル・スコアの制作をプロデューサーのThe AlchemistやWoody Jacksonなどに依頼している。The Alchemistはスコア制作について、以下のように語っていた。

 

最初はいつもビートを作るときのようにアプローチしていたんだ。でもゲームのシナリオを意識することによって、よりクリエイティブになることができた。それでサンプルを使わず、何もない所からビートを作ろうという決断に至ったんだ。

 

GTA Vには、これまでGTAを遊んできたアーティストが参加するようになった。例えば、作品内でFlyLo FMを担当している、有名プロデューサーFlying Lotus (フライング・ロータス)や、ラッパーのTyler The Creatorなどである。Tyler The Creatorに至っては、ゲーム内に登場するNPCの声優も担当している。作品内には、Tyler The Creator、ASAP Rockyのオリジナル楽曲が登場する。

 





 





 

また、2019年12月には、ラッパーのDanny BrownとSkeptaがGTA Vのアップデートで、iFruit Radioを担当している。その1年後のアップデートには、200曲に渡る新曲に加え、ドクター・ドレーとジミー・アイオヴィンが作中に登場し、本人を演じている。

 

このように、時代と共に様々な音楽をフィーチャーしてきたGTAシリーズ。今後もそのゲーム性だけではなく、作中に登場する音楽にも期待したい。

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