2020年は世界的なパンデミックもあり、アーティストにとっても活動が制限された年であった。そのような逆境のなかでも活躍したアーティストを讃えるためのシリーズ、「BEST OF 2020」。今回は「HIP HOP DNA編集部が選ぶベストニューアーティスト2020」、「HIP HOP DNA編集部が選ぶベストヒップホップトラックTOP15」に引き続き、「BEST OF 2020」のフィナーレとして、2020年にリリースされたアルバムという定義のなかから、編集部が選んだ「ベストアルバム2020」を紹介したい。
【BEST OF 2020】HIP HOP DNA編集部が選ぶベストヒップホップトラックTOP15
Best Album of 2020
10位 Kid Cudi – Man On the Moon III: The Chosen
キッド・カディがリリースした「Man On The Moon」シリーズの第三作目。第二作目「Man On The Moon: The Legend of Mr. Rager」から10年経ち、ファン待望の新作となった。Skepta、Pop Smoke、Phoebe Rogers、Trippie Reddが参加しており、引き続き自身の鬱症状などの感情と向き合った作品。
9位 21 Savage & Metro Boomin – Savage Mode II
21 SavageとMetro Boominのコラボプロジェクトの続編「Savage Mode II」。モーガン・フリーマンがナレーションを努めており、人生やストリートの掟など語っている。Metro Boominのビートと21 Savageのラップがどちらも光っており、1作目「Savage Mode」より洗練された二人のスキルを聞くことができる。
8位 G Herbo – PTSD
G Herboがリリースしたアルバム「PTSD」。こちらに収録されているタイトルトラック「PTSD」にはジュース・ワールドも参加しており、HIP HOP DNA編集部が選ぶ2020年のベストトラックにも選ばれているため要チェックである。アグレッシヴな楽曲から、ヒップホップバラードまで、彼の心の傷などを赤裸々に表現したバランスのとれたアルバム。
7位 Jay Electronica – A Written Testimony
デビューアルバムをなかなかリリースしないことから、「永遠のベテラン新人 」と呼ばれていたJay Electronica(ジェイ・エレクトロニカ)。Jay-Zのロック・ネイションと契約していた彼が待望のデビューアルバムをリリースした。Jay Electronica本人も、多くの楽曲をプロデュースしており、迫力のあるプロダクションとゲストで度々登場するJay-Zのラップも光っている。
6位 Megan Thee Stallion – Good News
2019年のXXLフレッシュマンにも選ばれたミーガン・ジー・スタリオン。彼女はアップカミングなアーティストの中でも特に注目を集め続けており、Beyoncé(ビヨンセ)とのコラボ曲「Savage Remix」がBillboard Hot 100で1位にチャートインするなど、2020年もスター級の成功を収めている。彼女がトリー・レーンズに足を銃撃されたという報道もあり、本人にとっては良いことばかりの一年ではなかったかもしれないが、そんなミーガンがリリースした「Good News」がランクイン。曲調としても多様性があり、込められたメッセージやデリバリーとしてもクオリティが高いアルバムであった。
5位 Juice WRLD – Legends Never Die
昨年末に、21歳の若さでこの世を去ったJuice WRLD(ジュース・ワールド)。彼の遺作となるアルバム「Legends Never Die」は初日に7460万回され、今年リリースされたThe Weeknd、Eminem、Bad Bunnyのアルバムの初日再生数を超える記録となった。こちらのアルバムは、Juice WRLDのキャリアにて多く表現されていた不安、ドラッグとの戦い、愛などがメインテーマとなっており、彼はその繊細さを惜しみなく「等身大の感情」として歌っている。
4位 Nas – King’s Disease
NYのレジェンドMCであるNasがリリースした新アルバム「King Disease」。ブラックであることの誇りなどをラップした作品は、Nasのリリシズムだけではなく、ゲストアーティストの歌なども印象的である。
3位 DaBaby / Blame It On Baby (Deluxe)
HIP HOP DNA編集部が選ぶベストトラックにて、「Rockstar」で1位を獲得したDaBaby。こちらのデラックス版には、「Rockstar」のBLMリミックス、Young Thugとのコラボ曲「BLIND」も収録されており、アルバムとして非常に高いクオリティになっている。
2位 Lil Baby – My Turn
先日、2020年で最も売り上げたアルバムと報道されていたLil Babyの「My Turn」。彼のオートチューンをかけながらも高速でラップするスタイルとリリックのファンになったリスナーも多く、特に楽曲「The Bigger Picture」は人種差別問題において、大きなインパクトを及ぼしていた。
1位 Pop Smoke – Shoot For The Stars Aim For The Moon
Pop Smokeの遺作となったデビュー・アルバム「Shoot for the Stars, Aim for the Moon」。ヘヴィなプロダクションに、多くの豪華ゲスト、そしてポップ・スモークの声とフローは多くのヒップホップリスナーの心掴んだ。モダンなプロダクションであるが、オールドスクールなヒップホップファンも楽しめるラップスキルを見せていたポップ・スモークという人物の才能を改めて世に知らしめた作品であった。憧れであった50 Centがエグゼクティブ・プロデュースという展開もあり、今年最も注目されたアルバムと言っても過言ではないだろう。
Honorable Mentions
この度トップ10に入らなかったが、候補として挙がった素晴らしいアルバムたち
・Lil Uzi Vert – Eternal Atake
・Amine – Limbo
・Blxt – No Love Lost
・Big Sean – Detroit 2
・Busta Rhymes – Extinction Level Event 2:The Wrath Of God
・Statik Selektah – The Balancing Act
・Freddie Gibbs & Alchemist – Alfredo
・King Von – Welcome to O’Block
・Sa-Roc – The Sharecropper’s Daughter
・Goodie Mob – Survival Kit
・Benny The Butcher – Burden of Proof
・D Smoke – Black Habits
・Spillage Village – Spilligion
・Run The Jewels – RTJ4
・LOGIC – No Pressure
など