先日、Conway the Machineとの新アルバム「LULU」をリリースしたばかりのThe Alchemist。そんな彼が「For The Record With Rob Markman」に出演した際に語った内容を紹介したい。
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番組の中でThe Alchemistは、2015年に「A Waste Of Time with ItsTheReal」に出演した際に語ったJay-Zとの思い出について、改めて話している。The Alchemistは2000年代初頭に、ニューヨークのクラブを訪問した際に、たまたま出会ったJay-Zにとあることを言われたらしい。彼は「いつになったら、ビートを無駄にするのをやめるんだ?」と言われたのだ。このセリフには、The Alchemistの才能を認めるJay-Zが考えが詰まっているように思える。
当時The Alchemistは、Mobb Deep、Dilated Peoples、Ghostface Killahなどのアーティストの楽曲をプロデュースしており、業界内では高いプロップスを得ていたが、一般的にはまだその名を轟かすことはできていなかった。そんなThe Alchemistの能力が高いことを認め、「良いビート作るんだから、自分の名が広まるようなアーティストに提供しなよ」という意味で言ったのだろう。また自分と一緒に仕事をすれば、知名度も爆発的に上がるはずであるとJay-Zは伝えたかったのだろう。
「A Waste Of Time with ItsTheReal」の中でThe Alchemistは「冗談みたいな感じではなく、マジで最初の一言がそれだった。パーティにいて音楽の音量も大きかったしそもそもクラブって気分でもなかったから、Jay-Zに、今からスタジオへ行こうと声をかけた。」とも話していた。それからJay-ZはThe Alchemistに、Beanie Sigelと話すようにと伝え、彼らはBaseline Studiosにて集合することになったのだ。帰宅したThe Alchemistはドラムマシンを持ってBaseline Studiosへ向かったが、Jay-Zは姿を現さなかったようだ。結果的に、The AlchemistはBeanie SigelとFreewayという楽曲を制作することになった。
Jadakissの楽曲「We Gonna Make It」などによりThe Alchemistの存在を知った者も少なくはなかったが、The Alchemistに声をかけたJay-Z自身が、コラボの機会を逃してしまったのである。
The Alchemistはそんな思い出について振り返り、「Jay-Zは、俺のビートを聴く時間は作ってくれたよ。でも正直に言うと、Roc-A-Fellaのオフィスに行くだけ行って終わりみたいなことばかりだった。たしかWe Gonna Make Itのビートも聴いてくれたと思う。Jay-Zは部屋の様子をちょっとだけ覗いて、いいねと言ってくれたっけな。残念ながらチャンスは無かったのかもしれないけど、多分聴いてくれたし、良かったとも言ってくれてたと思うよ。」と説明している。しかし実際に今回のJay ElectronicaとJay-Zのアルバムにて、一緒に仕事をしたThe Alchemist。縁がある人たち同士は、タイミングが合えば一緒に仕事をすることになるということもわかる。