エミネムはもちろんトップ・ラッパーとして知られているが、プロデューサーとしても活躍していた時期があった。50 Centのデビュー・アルバム「Get Rich Or Die Tryin’」でも、複数の楽曲をプロデュースしており、2Pacの遺作アルバム「Loyal to the Game」も手掛けている。彼をプロデューサーとしてもリスペクトしているアーティストは多く、中でもKanye West(カニエ・ウェスト)はデビュー当時からエミネムのファンであると公言している。あるツイッターのユーザーが、そんなカニエがエミネムから受けた影響などについて2004年のScratch magazineにて語った内容をシェアした。
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My basement flooded last month and ruined my collection of Scratch Magazines so please forgive the quality. pic.twitter.com/VPyhUsxQ1i
— Howard “Treble” Cox (@Trebworld) March 19, 2020
エミネムが所属していたヒップホップグループ「D12」の楽曲「D12 World」のプロデュースを手がけたカニエは、その制作中に起きた出来事を説明している。
「俺がD12と仕事をしたとき、当時はエミネムのことを最強のプロデューサーだと思ってたから、ドラムマシンを一回交換してくれと頼みたかった。でも彼はスーパースターだし、俺はビビって聞けなかったんだ。」
エミネムのクランチーなドラムサウンドを欲するあまり、エミネムにドラムマシンを貸してほしいと思っていたと語った。しかし頼む勇気がなかった彼は、思い切った行動を起こしたのだ。彼は、エミネムがMP-ディスクをスタジオに置いていったことに気がつき、勝手にコピーし始めたのだ。
「彼らが戻ってくるまでに、できるだけ多くのサウンドをコピーしようと思った。コピーを始めたら、彼のエンジニアが部屋に入ってきて、全てのディスクを持っていったんだ。」
エンジニアにディスクを没収され、計画が上手く行かなかったカニエだが、彼はエミネムから学んだことがあると話している。
「エミネムは、俺がやらないようなことをやっていた。例えば新人のプロデューサーは、スネアをサンプリングするときに、他の要素がわからないように、サンプルのスピードを+8にするんだ。でも俺は元のスネア音をサンプリングしたいから、そういうことはしないんだ。エミネムがサウンドを切り取るのを見ていて、切り取り方を学んだ。彼は細かく切り取ることにより、他の要素やエフェクトが入らないようにして、それが求めている特定のサウンドを生むんだ。エミネムのドラムセットを通して、たくさんのことを学んだよ。彼がこれを褒め言葉として受け取ってくれたら嬉しいな。」
このようにプロデューサーとしてカニエから評価されたエミネムであるが、その裏にはメンターであるドクター・ドレーから学んだ技術があった。カニエはドクター・ドレーから受けた影響を、2010年のRolling Stoneのインタビューにて語っていた。
「俺が母の家にあるホームスタジオにて、プロデュースを学び始めたときのことだ。俺はTimbaland、DJ Premier、Pete Rock、特にドレーのサウンドを完全に再現する練習をしていた。ドレーがプロデュースした2PacのCalifornia Loveは、俺がやってることに比べると、手が届かないレベルの曲だった。何をやっているのか理解できなかったよ。あんな多くのパートを綺麗に重ねるには何をしたらいいのか、見当もつかなかった。」
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