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MF DOOM(エム・エフ・ドゥーム)の世界観を作り上げた11曲を紹介。時系列順に功績を辿る

 

 

ヒップホップの歴史の中でもトップクラスの言葉遊びやリリシズム、キャラ作りなどが評価されてきたアンダーグラウンドのレジェンド、MF DOOM(エム・エフ・ドゥーム)。昨年惜しくも亡くなった彼がヒップホップの悪役キャラとしてマスクをつけた理由や意味を紹介した記事を先日HIP HOP DNAで公開したが、今回はそんなMF DOOMの功績を辿る11曲を紹介したい。

 

関連記事: 【RIP】MF DOOMが悪役キャラとしてマスクをつけた理由とは?アンダーグラウンドのレジェンド、MF DOOMが作り上げた世界観

 

3rd Bass – The Gas Face(1989年)

 





MF DOOM=本名Daniel Dumile(ダニエル・ドゥーミレイ)が悪役キャラとしてマスクをつける前、Zev Love X名義で「KMD(ケー・エム・ディー)」というヒップホップグループを結成した頃の楽曲。ライムスキームの切り替えや言葉遊びなど、活動を始めた初期からラッパーとして優れていたことがわかる。

 

 

 

KMD – Constipated Monkey(1994年)

 





こちらの楽曲が収録されているアルバム「Black Bastards」をリリースするタイミングでZev Love Xは実の弟であり、グループのメンバーでもあるDJ Subrocを交通事故で亡くしており、同事故と同じ週にKMDがElektra Recordsとの契約を切られるという2つの悲劇が起きた。当時はお蔵入りになった「Black Bastards」であるが、コントロヴァーシャルなアルバムアートワークなども含め、「Constipated Monkey」はダニエル・ドゥーミレイのキャリアの中で最も政治色が濃い作品の一つと言われている。

 

 

 

MF DOOM – Doomsday(1999年)

 





「Black Bastards」の頃に起きた悲劇をきっかけに、ヒップホップの悪役キャラとして「業界への復讐」を決意したZev Love X。マーベルコミックのスーパーヴィランDoctor Doom(ドクター・ドゥーム)と似たマスクを身につけ、彼はMF DOOMとして「Operation: Doomsday」というアルバムをリリースし新たに活動を開始したのだ。「Doomsday」は同アルバムの中でも特に人気の楽曲の一つとして知られているため、要チェックである。

 

 

 

Viktor Vaughn – Lickupon(2003年)

 





MF DOOMのオルターエゴであるViktor Vaughn名義の楽曲。Viktor Vaughnという名前もドクター・ドゥームの本名であるヴィクター・フォン・ドゥーム由来である。「Lickupon」は「Vaudeville Villain」というアルバムに収録されており、まるで映画監督のように自らをパフォーマーとして新たにキャスティングした同作品で、彼はキャラ作りのスキルをさらに発揮している。

 

 

 

King Geedorah – Anti-Matter ft. MF DOOM and Mr. Fantastik(2003年)

 





Viktor VaughnがMF DOOMの弟子的な存在であるとすれば、キング・ギドラから名付けられたKing GeedorahはMF DOOMの世界ではより誇示されたキャラクターと言えるだろう。King GeedorahもMF DOOMのオルターエゴであるが、Viktor Vaughnの「Lickupon」に引き続き、彼はキャラ演出のスキルを発揮している。

 

 

 

MF DOOM – Beef Rapp(2004年)

 





「Beef Rapp」が収録されているアルバム「MM.. Food」はMF DOOMのアナグラムとなっており、ヒップホップの名コンセプト・アルバムとして語り継がれている。牛肉のビーフとラッパー同士のビーフの2つの意味を持つ「Beef」であるが、「Beef Rapp」にてMF DOOMはビーフや性を売りにラップをするアーティストたちについてラップしている。

 

 

 

Madvillain – Meat Grinder(2004年)

 





ヒップホップの名作コラボアルバムとして評価される「Madvillainy」に収録されている楽曲。特に「Meat Grinder」はMF DOOMのリリシストとしてのスキルが発揮されており、そのデリバリーにも注目である。Madvillainのもう一人のメンバーであるMadlibのジャジーなビートも相まって、アルバムの中でも最も印象的な楽曲として評価されている。

 

 

 

Danger Doom – Crosshairs(2005年)

 





「Crosshairs」はDanger MouseとMF DOOMのコラボ作品「The Mouse & the Mask」に収録されており、同アルバムはアメリカの人気カートゥーンネットワーク「Adult Swim(アダルトスイム)」がスポンサーしている、。同アルバムにはMaster ShakeなどのAdult Swimキャラクターが登場しており、MF DOOMがヒップホップのヴィランとしてより強調されている。

 

 

 

MF DOOM – That’s That(2009年)

 





「That’s That」は今回紹介した楽曲の中でも特にMF DOOMの言葉遊びやリリシズムの才能が発揮されている楽曲の一つと言えるだろう。Galt MacDermotの楽曲「Princess Gika」をサンプリングしたビートも印象的である。

 

 

 

Dabrye – Air ft. MF DOOM (2006年) / Sadevillain – Air (2016年)

 









Gorillazや、若手リリシストのBishop Nehruとの作品など、多くのアーティストとコラボを行ってきたMF DOOM。その中でもDabryeとのコラボ曲「Air」は10年後に再びリミックス版がリリースされており、新たなバージョンではSadeの「I Couldn’t Love You More」がサンプリングされている。

 

参考:Pitchfork

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