ビリー・アイリッシュの『ホエン・ウィー・オール・フォール・アスリープ、ホエア・ドゥー・ウィー・ゴー?』が初登場1位に輝いた、今週の米ビルボード・アルバム・チャート。
本作は、2017年発売のEP盤『ドント・スマイル・アット・ミー』(最高14位)以来1年半ぶりのリリース、そして初のスタジオ・アルバムとなるビリー・アイリッシュ、実質上のデビュー作。全米での首位獲得はシングル、アルバム含め初の快挙で、アメリカのみならず、イギリスやオーストラリア、ニュージーランドなど主要各国でNo.1デビューを果たしている。
週間ユニット数は313,000で、そのうちアルバムの実売が170,000枚、ストリーミングが137,000ユニットだった。2019年にリリースされたアルバムの中では、2月23日付チャートで1位に初登場した、アリアナ・グランデの『thank u, next』(今週3位)が獲得した360,000ユニットに次ぐ、2番目に高い記録。
初週のストリーミング数は1億9,400万回で、女性アーティストとしての週間ストリーミング記録は、トップがアリアナの『thank u, next』(週間3億7,000万回)で、2位が2018年4月21日付チャートで同1位に初登場した、カーディ・Bの『インベージョン・オブ・プライバシー』(週間2億2,265万回)、そして3番目にランクインしたのが、今週ビリーが獲得した1億9,400万回となる。
2019年発売のアルバム・セールスとしては、2月9日付チャートで1位にデビューした、バックストリート・ボーイズの『DNA』が記録した227,000枚に次ぐ、2番目に高い売り上げ枚数。そのうち、LP盤(レコード)による売り上げが15,000枚を記録していて、こちらは今年リリースされたアルバムの中の最高記録を更新した。
1991年以降、女性アーティストが週間15,000枚以上のLPセールスを記録したのは、ビリーとアデルの『25』(2015年12月)の2作のみ。昨年7月には、パニック!アット・ザ・ディスコの『プレイ・フォー・ザ・ウィキッド』が初週26,000枚のLPセールスを記録し、歴代5番目に高い記録を更新した。昨今、レコード盤が売上を伸ばしている理由として、SNSの「写真映え」やインテリアとして飾るという、スマホ時代らしい要因も挙げられる。
ストリーミングが集計ユニットに加算されるようになった2014年12月以降、30万を超える週間ユニット数を記録した女性アーティストは、ビリーで7組目。その他には、テイラー・スウィフトの『1989』(2014年)、アデルの『25』、ビヨンセの『レモネード』(2016年)、ピンクの『ビューティフル・トラウマ』(2017年)、テイラー・スウィフトの『レピュテーション』(2017年)、アリアナ・グランデの『thank u, next』の6作がある。
チャート編成後の2014年12月以降にリリースされたデビュー・アルバムとしては、本作が最高の初動ユニット数となる。また、2000年代に生まれたアーティスト(ビリーの誕生日は2001年12月18日)として全米1位を獲得したのは、17歳3か月の彼女が初となる。今回ビリーは、2015年5月2日付チャートで当時16歳8か月だったショーン・メンデスが『ハンドリトゥン』で1位をマークした以来の最年少記録をマークした。なお、女性アーティストとしては、2009年8月8日付チャートで2ndアルバム『ヒア・ウィー・ゴー・アゲイン』が首位となった、当時16歳11か月のデミ・ロヴァート以来となる。
今週のUKアルバム・チャートでも、同1位に初登場したビリー・アイリッシュの『ホエン・ウィー・オール・フォール・アスリープ、ホエア・ドゥー・ウィー・ゴー?』。イギリスでは、ジョス・ストーンが17歳5か月で『マインド、ボディ&ソウル』(2004年)を首位に送り込んだ最年少記録を破り、歴代最年少の女性ソロ・アーティストとなった。
今週2位にリエントリーしたのは、米LA出身のラッパー=ニプシー・ハッスルのデビュー・アルバム『ヴィクトリー・ラップ』。本作は2018年2月にリリースされたもので、翌3月3日付チャートで4位に初登場したが、今週再びランクインしたのは、3月31日に米LA市内で銃撃され、急死したため。訃報を受けて、週間17,000ダウンロードを記録し、ストリーミングと合算した合計66,000ユニットを記録。前週から2,000%以上ポイントを上昇させ、自己最高位を更新した。ニプシー・ハッスル以外にも、同行していた2名が重症を負ったが、命に別状はないという。今年はミーク・ミルとのコラボ・アルバムを発売する予定だったが、お蔵入りになるか、リリースされるかは未定。
アリアナを挟んで4位にデビューしたのは、Billboard 200で、最もTOP10入りしているカントリー・アーティストのジョージ・ストレイト。本作『ホンキートンク・タイム・マシーン』は通算30作目となるスタジオ・アルバムで、TOP10入りは21作目の快挙。35年前となる1984年3月3日付のチャートで、初のBillboard 200入りを果たした彼は、1992年の映画『Pure Country』サウンドトラックで初のTOP10入りをマークした。彼が最後にTOP10入りしたのは2015年の『Cold Beer Conversation』で、その際にも4位に初登場している。
Text:本家一成
◎【Billboard 200】トップ10
1位『ホエン・ウィー・オール・フォール・アスリープ、ホエア・ドゥー・ウィー・ゴー?』ビリー・アイリッシュ
2位『ヴィクトリー・ラップ』ニプシー・ハッスル
3位『thank u, next』アリアナ・グランデ
4位『ホンキートンク・タイム・マシーン』ジョージ・ストレイト
5位『デス・レース・フォー・ラヴ』ジュース・ワールド
6位『バッド・ハビッツ』ナヴ
7位『ビアボングズ&ベントレーズ』ポスト・マローン
8位『アリー/スター誕生』サウンドトラック
9位『Hoodie SZN』ア・ブギー・ウィット・ダ・フーディ
10位『スコーピオン』ドレイク
Photo by Albumcover
(提供元:Billboard JAPAN )