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Royce da 5’9″が語る環境における偏見と人種差別。「エミネムに出会い考えが変わった」

 

 

先日、HIP HOP DNAでジェーン・エリオット博士の実験を紹介した。こちらの実験では、社会やメディアがいかに人種差別や偏見といったシステムの上で運営されているか、ということが紹介されている。この度そのような問題について、HipHopDXにて語ったのがラッパーのRoyce Da 5’9(ロイス・ダ・ファイブ・ナイン)だ。彼は自身の経験や出会いを踏まえ、いかに人生が変わったか、そして問題の本質としていかに人々が「隔離」されているかについて語った。

 

HipHopDXのインタビューにて、自分が小さい頃受けた差別について語ったロイス・ダ・ファイブ・ナイン。彼は小さい頃、新しい住所に引っ越した当日に、白人にNワードで呼ばれたことを振り返った。

 





 

俺は小さい頃、Oak Parkという町に引っ越したんだ。デトロイトのすぐ近くだけど、8 Mileという道を超えるとOak Parkになる。だからそこはデトロイトのようで、デトロイトではない。そこに住んでいる人たちはアフリカ系アメリカ人が大多数なんだけど、白人もいる。引っ越した当日に、俺は人生で初めてNワードで呼ばれた。

 

このように、彼は引っ越した当日に人種差別を受けたと語った。白人からの人種差別を受けたが、彼の長年の盟友であり、ラップ・デュオ「Bad Meets Evil」の相方、エミネムと若い頃に出会ったことにより、白人に対してのイメージが変わったと明かした。

 

出会う人によって変わることがある。俺にとっては、マーシャル(エミネム)はそういう存在だった。若い頃に彼と仲良くなってから、白人は全員同じだというイメージが変わった。

 

白人から人種差別を受けたが、エミネムに出会ったことにより、白人が全員同じような考えを持っているというイメージが払拭されたと語ったロイス。しかし、出会いに恵まれず、一つの地域やメディアだけを情報源として育ってしまうことが、自分の視野を狭めてしまうと彼は語った。

 

 

俺がもし、自分が育った環境にそのまま住み続けて、その環境だけを通して世界を見続けていたとしたら、どうなっていただろう。自分が発育する上で重要なものを失っていただろう。また、視野は歪んで、狭くなってしまっていただろう。このように俺たちが抱える多くの問題は、それぞれ個別の問題のように見えるが、それぞれを辿っていくと根源は同じなんだ。それらの問題の根は、同じなんだ。

 

例えば、7 Mileのフッドに住むJasonと言う子がいたとする。彼らは開発された地域からフッドに追いやられ、社会から疎外されて育ってしまう。問題は、彼が住む地域だけではなく、その地域に住んでいる人が、どのような考えを持つかなんだ。彼らはテレビを見て、そこで示されている『成功』というものから、疎外された感覚を持つ。テレビで映されているものを世界だと思うが、自分がその世界に含まれていないように思ってしまう。テレビが映す世界や常識の蚊帳の外にいると思ってしまうんだ。遠くのその世界にいけば、問題から抜け出せると思ってしまうんだ。

 

 

フッドで育つ子供たちは、地域として社会的に隔離され、疎外されているだけではなく、テレビやメディアに映る「世界」や「成功」のイメージからも隔離されてしまっていると語るロイス。社会的に様々な出会いや、機会から疎外されているという問題以外にも、メディアに映し出されるものによっても、視野が狭くなってしまうという考えを明かした。

 

以前エミネムもロイスの最新アルバム「Allegory」にて、このメディアの問題について語っていた。

 

一方で、もし俺が黒人の子供として生まれ育ったとしよう。60、70、80年代、いつでもいい。テレビを観ていて、誰も俺のような見た目をしていない。ステレオタイプで、おもちゃや、アクションフィギュアすらも全員白人だ。1人や2人ぐらいは黒人のスーパーヒーローがいるかもしれないが、ほぼ白人だけの中に混じっている。不満を抱かずに大人になれるかわからない。

 

エミネムの発言は、こちらの記事で紹介している。プレイリスト

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