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Young Thugの斬新なボーカルスタイルを言語学者が解説。デリバリーやアドリブにおける声の使い方。

 

 

2010年頃から活躍し、声を楽器のように扱うスタイルで現代のラッパーに多大な影響を及ぼしたYoung Thug(ヤング・サグ)。その前衛的なボーカルスタイルにより、彼のリリックを聞き取れないという人も多いが、リリック自体の意味もファンの間では議論が度々行われている。そんなYoung Thugのボーカルスタイルを言語学者が解説した動画をGeniusが以前公開していた。今回は、そちらの内容を紹介したい。

 

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はじめに言語学者のDarin Flynnは、いかに彼の発声が今までのアーティストと違うかを指摘した。

 

「Young Thugのデリバリーは自然で、日常的な語り方なんだ。親しい友達と家で話すような感じだ。それは誰かに聞かれている意識がなく、誰かのため披露しているわけではない喋り方だ。聞き取れるように、はっきり話しているわけではないんだ。そのためYoung Thugの表現はより自然で、オーセンティックな語り方だ。彼はその上にさらに感情を声に乗せている。」

 

Young Thugは自然に会話を行うようにボーカルとしての表現をしていると説明したDarin Flynn。ラップは聞き取れることを前提として生まれた手法であったため、Young Thugの「聞き取ってもらいたいわけでないが、自然に表現する」というスタイルは斬新であったのだ。Young Thug自身も「自分の表現を説明するのが嫌いだ」と語っており、感情を乗せて歌う歌唱や楽器のように、声という音色を使っているようだ。

 

また、Darin FlynnはYoung Thugが繰り返し使うアドリブについて以下のように続けている。

 

「同じ言葉やフレーズを繰り返し使用しつつも、複数の意味や別々の文脈で伝えるというスタイルを切り開いている。また、フレーズをわずかに違うイントネーションでそれぞれ別の感情を持たせているんだ。すごく楽しめるし、ロシア人の俳優によって1950年代に証明された実験に似ている。その実験では、言語学者が俳優に、トーンを変えただけの同じ言葉を50回繰り返し言わせて、録音をしたんだ。50回とも同じ言葉単体の録音であったが、その音声を聞いた人たちは、ほぼ全ての録音において意味合いを読み取ることができた。それぞれの音声から感情や文脈を理解することができたんだ。」

 

同じ言葉を繰り返しているが、複数の意味などで使用するという手法はYoung Thugのアドリブに多く見ることができる。またGeniusの動画では、「デスメタルなどのボーカルも歌詞が聞き取れなかったとしても、感情が伝わってくる。Young Thugもその要素がある」と解説されている。

 

言語学者がYoung Thugについて解説した動画は以下のリンクからチェックすることができる。

 

 





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