LAをベースに活動しているアーティスト/プロデューサーのMndsgn(マインドデザイン)。名門であるStones Throw レコーズに所属し、新アルバム「Rare Pleasure」を2021年6月にリリースした。そんな彼がDJBoothにて、制作する時の心得を語っているため、紹介したい。
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自己認識が鍵:意図を持ってプロデュースすることは、意図を持って生活をすることと切り離せない。自分のことを意識して、自分を理解することが重要なんだ。創作をするということは、そういうことなんだと思う。
なるべく最も素直で、透明な形で「表現」をしたいんだ。言葉に限界があるところでも、音がそこから始まったりする。
基本を学ぶことを楽しもう:既に簡単なコードなどを押さえることができたんだけど、家で暇しているときに簡単なコードを弾いて「おお、これは映画みたいな音じゃん」って楽しんでいた。
他のクリエイターに話を聞いてみよう:一人ひとりのユニークさや独自性を認めて、応援するんだ。だからこそ自分の作品でも、「これについてどう思う?」って聞く。その人の意見は、他の人の意見と違うかもしれないけど、それでいい。X-Menのようなものだと思っている。みんなが違うスーパーパワーを持っていて、その人特有のパワーにチューニングを合わせることにより、会話が弾む。
同類の精神を持った人たちを認識する:Knxwledgeとは2008年ぐらいにインターネットで知り合ったんだ。彼の家に遊びに行くと、色々なものを紹介してくれた。自分の音楽の趣味や、パレットを広げる上で彼の存在は大きかった。あまりインタビューで言えてないんだけど、彼がいなかったら自分は全く違う存在になっていただろう。
クラシックと呼ばれる作品を勉強しよう:曲作りを始めたときは、実際に彼らがやっていたことを再現するのではなく、「こうやってるのかな?」って想像をしていた。サンプリングの技術を知らなかったけど、サンプリングの曲を聞いて、どうにか楽器で再現しようとしていた。それが想像力を使う訓練になっていたと思う。
音楽理論を使ってもいいし、使わなくてもいい:もし自分が大工だったら、目の良さとセンスだけでもある程度は作れるかもしれない。でも、基本的な数学は知る必要があるだろう。自分の引き出しに多くのツールがあればあるほど、簡単になることもある。音楽も同じだと思う。音楽理論も自分にとってはそういうツールだ。使うところと使わないところを理解するのが重要だと思う。もし使わないという選択ができないのであれば、理論が自分にとって害になるシチュエーションもある。ただのツールであり、情報でしかないんだ。全員が同じツールを同じように使うことはない。
自分のテイストを道標にしよう:曲作りより先にビート作りをやってよかったと思う。「作曲」に近づくレベルまでビートが作れれば、自分のテイストに合わせて自分が何を作りたいのか、自分が何を聞きたいのかがわかってくる。
理論とか情報が先に来たわけではない。自分のテイストと、自分が聞きたいものを作りたいという欲求が先に来てるんだ。そういう自分のセンスやテイストは学校で教わることができないものだ。テイストはアカデミックではなく、自然にあるものだ。
自分が一番優れたミュージシャンだと思うな:このアルバムに参加した人たちはみんな、俺より凄い人たちだと思う。もちろん俺は自分がやったことに誇りを持っている士、自分という人物を愛している。でも、周りにこういうミュージシャンがいると、自分が持っていないものが見えるようになる。
自分の原点を忘れるな:自分の中にはまだ子供のときのような好奇心があるはずだ。もしかしたらその好奇心にアクセスするのは難しいかもしれないけど、俺はただ愛と熱意と好奇心から生まれる、自分が聞きたい音楽を作ろうとしているだけだ。それは原点からあまり変わっていない。最近は初心に戻ってビートをチョップして、ドラムをつける作業をやっている。まだ自分の芯があることに気が付けて気分がいい。リザードンになっても、コアな部分はヒトカゲなんだ。
自信のなさによってヴィジョンが曇る:「自分はクソだ」という心の声が自分の敵だ。その声は弱く、自分が前に進むためには必要のないことだ。無視しろとは言わないけど、自信をなくすことは、どんな創作活動でも起こることだ。そんな声は気にせずに前に進め。