NY州ロングアイランドのベテランヒップホップ・トリオ、De La Soul(デ・ラ・ソウル)。初期作品が今年に入りデジタル配信された彼らであるが、当時のレーベルTommy Boy Recordsとの確執やサンプリングの権利問題が原因で、それらを取り下げることをリクエストしていた。彼らはレーベルとのアンフェアな契約により、かなり不利なシチュエーションに追い込まれていたのだ。
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原盤権を取り戻すことを目的とした長きにわたる交渉が行われていたが、そんな彼らがインスタグラムにて交渉が決裂したと語った。
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みんな、30年間音楽で頑張って生計を立ててきた結果、そして7ヶ月に渡る全然前に進まない交渉の結果、Tommy Boyとの交渉は決裂した。彼らからは、私たちの音楽とレガシーに対するリスペクトを得ることができなかった。多くのコンサルティングの結果、30周年リリースもやらないことにした。
Tommy Boyは「原盤をアーティストに渡すことは決してしない」と言った。もちろんそのような権利を所有するには、長いプロセスがあるのはわかっているが、何年も期待を裏切ってきたTommy Boyのことは信用しない。その結果、私たちの音楽は、私たちが同意する形では世に出ない。だからデ・ラ・ソウルのそのような音源は、購入/再生されても私たちには売上は入ってこない。他のところには入るが、私たちには入らない。みんな長年の協力をありがとう。
新しい音楽と、お互いをリスペクトできるビジネスに今後集中していく。 #Dontpressplay(再生ボタンを押さないで)
このように、交渉が決裂したことにより、彼らに売上が入らないと語ったデ・ラ・ソウル。今回は、原盤と売上だけではなく、サンプリングのクリアにおける問題もあるのだ。以前もHIP HOP DNAでは紹介したが、彼らは「サンプリングの権利が取れていない」と語っており、いまだに権利関係の問題が解決していないと話している。一方でTommy Boyは、問題を解決しないままDe La Soulの30周年記念としてデジタル配信を開始したのだ。インディペンデント・レーベルだったこともあり、当時も「そんなに売れるとは思わなかった」という理由で、レーベルはサンプルの使用許可を得ないでリリースをしていたらしい。しかし権利と売上を巡って訴えられた場合、売上を受け取っていないDe La Soul側にも金銭的な制裁が下る可能性もあるため、「#再生ボタンを押さないで」というハッシュタグをつけていることが見受けられる。
長年に渡り、ヒップホップ文化に大きく貢献してきた伝説的なグループがこのような状況になっていることに、心が痛む人は多いだろう。状況が良くなることを祈るばかりだ。「3 Feet High and Rising」から「AOI: Bionix’」がTommy Boyからリリースされており、それ以降のアルバムは違うレーベルからリリースされているため、そちらを再生するのが良いだろう。