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ミネアポリス市議会が警察組織を一旦解体すると発表。今後はコミュニティベースの新しい治安モデルを再建

 

 

先月の25日に、ミネソタ州ミネアポリスにてGeorge Floyd(ジョージ・フロイド)氏が、警官に不当に殺害された。事件後、アメリカ各地で抗議デモが行われているが、この度、ミネアポリス市議会が市の警察組織を解体し、今後はコミュニティーをベースとした新しい治安のモデルを再建すると発表した。

 

関連記事: 【日本語字幕あり】米国の人種差別、法と政治、大量投獄の歴史に踏み込んだNetflixドキュメンタリー『13th』がYouTubeで無料公開。

 

ミネアポリス市議会のAlondra Cano氏はツイッターにて以下のように話している。

 

「ミネアポリス警察は改革不可能であり、現状の治安維持システムは終わらせるべきであるということについて、ミネアポリス市の議会は多数の賛成を得ることができました。」

 

ミネアポリスは以前から警察組織の改革に向けて試行錯誤をしていたようだが、ミネアポリス市議会長のLisa Bender氏は、「失敗」したと語っている

 

「我々は、ジョージ・フロイド氏が殺害されたことで、今日ここに集まっています。またアメリカ各地の治安維持システムが、多くの市民にとって正常に働いていないというのも理由の一つです。改革のための努力は失敗しました。」

 

Steve Fletcher氏は、Time誌にて、ミネアポリス市議会の具体的な改革方法について語っている。彼らは前々から、警察組織による「致命傷に繋がる武器を推奨するトレーニング」を禁止するように訴えていたようだ。また、警官たちが社会に向けて責任を持って行動を起こすように呼びかけるだけではなく、他にも比較的に少額の予算削減なども行ったと話している。しかし予算削減は警察内から反感を買い、警察の反発は、市民にも向けられたと言う。

 

以前、提案の通り予算削減を行ったとき、通報の電話が繋がるまで、非常に長い時間がかかるようになったという話を市民から聞いた。「なんでこんな時間がかかるようになったのかは、市会議員に聞くように」と、警官たちが、通報したビジネスオーナーたちに伝えているという話も聞いた。公でこの反発について話すようになってからは、各地の政治家たちから「あなたの地域でも同様の問題が起きているのか?」と連絡を受けるようになった。

 

このように以前予算削減をしたときには、警察内部から政治的にとどまらない反発があったという。Steve Fletcher氏はミネアポリス警察の不正行為や暴力/差別行為には長い歴史があり、それらは現在も続いており、今も調査の主題でもあると説明している。彼は、ジョージ・フロイド氏が殺害されたきっかけについても以下のように話した。

 

「食料品店にて、20ドルの買い物をする際に起きた誤解は、武器や手錠を取り出すまでもなく解決できるはずだろう。」

 

今回の件だけではなく、The AppealMurder Accountability Projectのデータを引用し、「ミネアポリス警察が重犯罪を解決した記録は、一貫して低い」と報道している。2019年を例にすると、ミネアポリス警察の殺人事件における検挙率は56%となっている。強姦事件においては、2018年を例にすると検挙率は22%であり、言い換えると、5人に4人の強姦事件が未解決のままということである。

 

ジョージ・フロイド氏が殺害された事件に関わった警察官Thomas Laneについても「雇われる前から前科が7件あった」との報道があり、彼は過去に何度か器物損壊などの罪も犯していたようだ。

 

ロサンゼルス市や、ニューヨーク市などでは、警察の予算を削減し、教育や住宅政策などの福祉に割り当てようという動きもあるようだ。The Appealは「警察組織はメンタルヘルスの緊急事態に対応するためのエキスパートではない」とした上で、警察によって殺害された人物の約半数が身体的、または精神的な障害を抱えていたとも報道している。公衆衛生の専門家は「薬物使用やメンタルヘルスに関する通報に対応するには、医療の専門家やソーシャルワーカーを派遣するべきで、武装した警察は適していない」と長い間訴え続けている。またData for Progressの調査によると、有権者のうちの68%は、このようなプログラムのサポートに賛成しているようだ。

 

警察組織に関する予算と、教育や福祉の予算がアンバランスであるという問題については長年語られている。また、アメリカの警察と刑務所ビジネスについては、Netflixの「13th -憲法修正第13条-」というドキュメンタリー作品が詳しく解説しているため、オススメである。こちらのドキュメンタリーはYouTubeにて日本語字幕つきで無料で公開されているため、要チェックだ。

 

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