ヒップホップデュオEric B. & Rakimのラッパーとして1987年にデビューし、後のラップスタイルにも多大な影響を与えたベテランMCのRakim(ラキム)。J-Waveのヒップホップ番組「Booze House」にてKaz Skellingtonが「ラキムが水のように流れるのか、水がラキムのように流れているのか?」と言ったように、ラップにおけるフローの概念を変えたと言っても過言ではない「ゴッドMC」ラキムが、伝説のジャズ・ミュージシャンであるJohn Coltrane(ジョン・コルトレーン)から受けた影響について語った内容を紹介したい。
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ラキムの回想録「Sweat The Technique」のトークショーにて、彼はジョン・コルトレーンの音楽と出会い、人生が変わったと話している。
俺の兄も俺みたいな感じのやつで、俺たちは音楽が大好きなんだ。俺の兄がサックスをやっていて、俺もやり始めた。よく2人で音楽を聞いて、色々と分析をしたり、評論し合ったりしていた。ある日2人でジョン・コルトレーンの「My Favorite Things」を聴いていたら、彼が2つの音を同時に吹いている箇所を見つけたんだ。毎週この作品を聞いていたから、何度も聞いていたのに、はじめてその部分に気がついた。2人で「今の聞いたか?」って感じになり、何度もその部分を巻き戻して聞いた。実際に彼が何をやっていたのかはわからないが、「まじかよ…」ってなったのを覚えている。
そんなジョン・コルトレーンに感銘を受けたラキムは、「ラップの要素であるリリックやライムを使って同じようなことが出来ないだろうか?イノベーションを起こす者たちは、常に皆が無理だと思った限界に挑んでいる。」と考えたと語る。このようなことも彼のスタイルの起源となっているのだろう。
ジョン・コルトレーンについてラキムは、KRS-ONEと2015年に行ったインタビューでも話しており、家族の影響で小学4年生からサックスを始めたラキムは実際にサックスを吹いてそこからフローを考えていたらしい。リズムもジョン・コルトレーンから影響を受けており、ラキムは「サックスを吹いていた時の経験からリズムを大きく1.2.3.4.で取るのではなく、もっと細かく区切り、その間のスペースに色々入れるようになった。言葉でジョン・コルトレーンと同じリズムが作れると気がついたんだ。」と語っていた。
ラキムの入門的プレイリストは以下のリンクからチェック。