ヒップホップにおけるラップスタイルに多大な影響を与えた、ゴッドMCと呼ばれるRakim(ラキム)。彼の回想録「Sweat The Technique」のトークショーにパブリック・エネミーのChuck D(チャック・D)が参加し、ヒップホップ界におけるレジェンドである2人が、いかにお互いを意識して切磋琢磨していたかなどについて語った。そのなかでラキムがラッパーになる前はアメフト選手になろうとしていたというエピソードが興味深かったため、紹介したい。
ラキムは若い頃、アメリカンフットボールをやっており、クオーターバックを務めていた。ラキムは当時NFLを本気で目指していたが、Eric B. & RakimのDJであるエリックB.と知り合い、全てが変わったと明かした。
「クオーターバックになるためひたすらトレーニングしてたよ。シーズンが始まる2-3週間前には、高校に走って通ってたんだ。それを見た人たちに『ラキムがシーズンの為に準備をしている』って思ってほしかったんだ、自分が重要人物かのように感じられるからね。」
「俺はもっと遠くにボールを投げられるように、もっと速く走れるようになるために頑張ってたんだ。でも世の中で起こることには全て理由がある」と、夢を諦めたことについて言及したラキム。「クオーターバックになるには、身長も体重も足りなかったんだ。エリックBが声をかけてくれてよかったよ。」
「俺は当時、音楽と同じようにアメフトを愛していた。本当にNFLでプレイできると思っていたんだけど、サイズが足りなかった。でもエリックBが声をかけてくれたことがきっかけで、もっといいことが起こった。」と、当時を振り返ったラキム。
エリックBがラキムに声をかけず、彼がスポーツを続けていたら、Eric B. & Rakimがヒップホップ界にイノベーションを起こすことはなかっただろう。「全てのことには理由がある」という彼の言葉からは、人生の出会いからいかに新しい道が生まれるかを感じることができる。