Kendrick Lamar(ケンドリック・ラマー)のアルバム「To Pimp A Butterfly」の1曲目を飾る楽曲「Wesley’s Theory」は、お金を稼いだ後に、その管理の方法を知らずに消費をし続けるラッパーを描いている。お金の使い方を教えられていないため、成功をしてもトラブルに見舞われたり、失敗をしてしまう人物が多いという学びがある楽曲である。その曲で印象的な部分と言えば、Dr. Dre(ドクター・ドレー)がケンドリックに向けて『お前は俺の家に来たときに、「こんな家が欲しい」って言ってたよな?手に入れることは簡単だ。本当に難しいのはその状態を維持することだ』というアドバイスを送るところだろう。先日新アルバムをリリースしたRoyce da 5’9”が、昔ドレーの家に遊びに行ったときに、同じことを何度も言われたと明かした。
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ドクター・ドレーの大ヒットアルバム「2001」の制作に参加していたエミネムとロイス。彼らが当時ドレーの豪邸を初めて訪問したとき、何度も同じアドバイスを受けたようだ。HipHopDXのインタビューに出演したRoyce da 5’9”は、以下のように語っている。
「こっちの部屋がこうなってて」みたいな説明をしてもらのってるんだけど、毎回「この部屋は凄いだろ。でも覚えておいてほしいのは、金を稼ぐのは簡単だが、維持するのが難しい。こっちの部屋を見せるよ」と部屋を案内したと思えば、次の部屋でも「この部屋にはこれがあるんだ。でも忘れるなよ、金を稼ぐのは簡単だがその状態を維持するのが難しい。で、そこの左にあるのが…」って言うんだ。
ドクター・ドレーは、自身の豪邸を見せる上で、この「お金は稼ぐより、維持させるのが難しい」という旨を何度も強調したようだ。1999年にリリースされたドクター・ドレーの「2001」。その作品の制作中はまだロイスもエミネムも駆け出しであった。これからスターとなり、お金を稼ぐことになる2人に、ドクター・ドレーは稼いだ後のことも考えないといけないということを教えたかったのだろう。
豪邸案内がようやく落ち着いたタイミングで、椅子に座っていたエミネムが足をテーブルの上に置いてしまい、彼はすぐに足を下に戻したとRoyce da 5’9”は話した。しばらくしてドレーは「ところで、大丈夫だ。足はテーブルの置いていてもいい」と言ったそうだ。懐の深いドクター・ドレーのエピソードであった。