2010年から2020年の間で、音楽業界は大きく変化した。昔と比べてネットには多くのプラットフォームがあるため、アーティストはバーチャルで自分の意見を公にすることが出来るようになり、CDやダウンロードではなく、ストリーミングで音楽を聴くことが一般的となった。そんな時代の変化について、「2010年代にヒップホップで起きた10個の変化」というリストをXXLがまとめているため、今回はそちらを紹介したい。
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ストリーミングが(ほぼ)すべてになった
2020年では、純粋な購入数が1000枚ほどでもBillboardチャートで1位を獲得すること可能になった。Billboardは、ストリーミングの再生回数を楽曲の純粋な購入数に加えて計算するようになったのである。例としては、 A Boogie Wit Da Hoodieのデビューアルバム「Hoodie SZN」は純粋な購入数が823枚だったが、ストリーミングで大ヒットを記録したためBillboardのアルバム200チャートにて1位を獲得した。
ラッパーたちとファンの距離感が近くなった
インスタグラムやツイッターなどのSNSは以前から存在していたが、2000年代後半はまだ普及はしていなかった。今ではインスタライブなどでアーティストとファンが交流することが一般的であり、日々の生活をチェックすることで、より身近な存在として好感度が上がったファンも多いだろう。
楽曲がより頻繁にリリースされるようになった
ケンドリック・ラマーやJ. Coleのように楽曲制作に時間をかける者ももちろんいるが、2010年以降のアーティストたちは以前より頻繁に楽曲をリリースするようになった。アルバムに収録されなかった楽曲や、サプライズのコラボプロジェクトなど、現代の音楽業界では新しい作品が常に大量にリリースされている。
アメリカではヒップホップが最も人気のあるジャンルになった
2017年にニールセンが発表した調査結果によると、ヒップホップはロックやポップを上回る人気を得ているようだ。Billboardチャートの上位リストなどを見ても、ヒップホップのアーティストが多くランクインしているということがわかる。
メロディアスなラップの流行
ドレイクなどのアーティストが出てきたばかりの頃は、ラッパーが歌うことはまだ珍しかった。しかし最近ではメロディアスなラップが流行しており、歌うこととラップの境界線は薄れてきている。ラッパーが歌うことについては、HIP HOP DNAでも以前「歌うラッパーの先駆けはドレイク?」という記事を紹介している。
バイラルヒットが理想のゴールになった
Billboardによる楽曲の売上の計算方法などが理由で、TikTokなどのプラットフォームでミーム動画としてヒットすることがラッパーたちにとって理想的な注目の集め方になった。
どのような楽曲でもBillboard Hot 100にランクインできるようになった
ストリーミングサービスはSNSやバイラルカルチャーと密接な関係にあるため、どのような楽曲でもチャートインするチャンスがある。実際の強盗や殺人についてラップした楽曲がチャートインするということは2000年代前半では珍しかったはずだが、Tay-Kが2017年にリリースした楽曲「The Race」はBillboard Hot 100チャートにて44位を獲得している。
ラッパーたちと社会的な責任
近年では以前と比べて、性差別的な内容のリリックなどがより批判されるようなった。過激なリリック以外にも、様々な要因が批判を受けるきっかけになっている。最近ではJ. ColeとNonameのツイッターなどでのやりとりが話題になった。
フィジカル盤を購入する人が少なくなった
冒頭などでも紹介したように、最近では以前と比べてフィジカル盤を購入する人が少なくなっている。デジタル配信がほぼ必須になった現代の音楽業界であるが、中にはそもそもフィジカルリリースをしないという選択をするアーティストも多い。しかしレコードの売り上げは順調となっている。
レーベルの存在感の低下
2010年以前は、ラップレーベルは強い存在感を放っていた。現代でもRoc Nation、Def Jam、Aftermath Entertainment、Shady Records、Bad Boy Entertainmentなどの大手レーベルが人気ラッパーたちを多く抱えているが、現代のアーティストたちはインディペンデントでの活動を選ぶ者が増えてきている。